白票大幅増、「税金無駄遣い」 大阪ダブル選、有権者はどう判断?

2026/02/09 20:48 

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 大阪府知事・大阪市長の出直しダブル選から一夜明けた9日、再選された日本維新の会代表の吉村洋文氏(50)と同副代表の横山英幸氏(44)は、それぞれ府庁と市役所に初登庁し、公約に掲げた「大阪都構想の再挑戦」に向けて新たなスタートを切った。ただ、無効票は知事選が2023年前回選の6・2倍、市長選が同3・1倍と大幅に増加。有権者や識者からは「信任を得たとは言えない」との指摘も上がった。

 吉村氏と横山氏は登庁後、それぞれ幹部職員と対面し、出直し選に踏み切った経緯などを説明した。その上で、吉村氏は「府として副首都にふさわしい行政機構のあり方を目指していきたい」と述べた。横山氏も「府市一体で大都市制度の設計図作りを進めたい」と抱負を語った。

 吉村氏が電撃的な衆院解散・総選挙に乗じて仕掛けた今回の出直し選。投票率は衆院選と同日としたこともあり、知事選が56・43%と、前回選を9・45ポイント上回った。市長選も55・47%で、7・14ポイント上昇した。

 維新以外の政党が「大義がない」などとして対抗馬の擁立を見送った影響で、都構想を巡る論戦は低調だったが、得票は吉村氏が302万4106、横山氏が83万257と、それぞれ前回選の1・2倍に伸ばした。

 任期途中の辞職による出直し選となったため、来年4月には再び知事・市長選が行われる。一方、出直し選にかかった費用は府・市合わせて約28億円に上り、「税金の無駄遣い」との批判も招いた。

 連合大阪は出直し選を、住民投票で2度否決された都構想に対する民意を尊重せず、「府政・市政を私物化する行為」だと指摘。組合員に批判の意思を示す行動として、投票用紙に何も書かない「白票」の投票を呼び掛けた。こうした動きは、SNSなどを通じて一部の市民団体や個人にも広がった。

 実際、候補者名以外が書かれた票や「白票」を含む無効票は、前回選より大幅に増加した。知事選は41万6783票で、投票総数の10・29%を占めた。市長選は17万620票(投票総数の13・77%)で、うち白票は13万2714票(同10・71%)。前回選の無効票は知事選が6万6792票(同1・98%)、市長選が5万4586票(同5・1%)だった。

 維新創設者で当時市長だった橋下徹氏が14年、都構想の議論が行き詰まったことを理由に臨んだ出直し市長選(投票率23・59%)の無効票は6万7506票(投票総数の13・53%)、うち白票は4万5098票(同9・04%)だった。いずれも今回の市長選の方が多く、市選管によると白票は過去最多となった。

 吉村氏は9日、府庁で報道陣に「300万票いただいた一方で、無効票が40万票、都構想反対を主張していた候補者(の得票)が45万票という結果だ。反対の意見をしっかり聞きながら、設計図作りに着手したい」と語った。設計図に当たる協定書(制度案)は、大都市地域特別区設置法に基づいて設置を目指す法定協議会で取りまとめる。

 また、吉村氏は副首都にふさわしい都市の姿を議論するため、府・市合同で立ち上げるとしていた新たな協議体について「もうやらない」と述べた。大阪維新の会が地域政党の立場で検討してきた都構想の制度案についても、法定協での議論に集約されるとの見方を示した。

 出直し選を巡っては、維新支援者からも「なぜ今なのか」という批判が相次いだ。選挙戦を支えたある地方議員は「恐れていたよりは良い結果だった」と胸をなでおろした一方、別の地方議員は「無効票が一定数あったことは重く受け止め、あくまで丁寧に合意形成を図っていってほしい」と注文した。【加藤明子、鈴木拓也】

毎日新聞

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