「出自知る権利保障されず」 AID当事者団体が法案の再考訴え

2025/02/25 17:17 

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 第三者の精子や卵子を使った不妊治療のルールを定め、今国会に提出された「特定生殖補助医療法案」を巡り、第三者の精子を使う人工授精(AID)で生まれた子どもの当事者団体が25日、東京都内で記者会見し「子どもが出自を知る権利が保障されていない」などと再考を訴えた。

 法案によると、精子や卵子を提供したドナーの情報は、医療機関から報告を受けた国立成育医療研究センター(東京都)が100年保管。成人した子どもから請求があれば、身長や血液型、年齢など、ドナーが特定されない情報はセンターが一律に開示する。一方、名前など特定につながる情報の開示には、ドナーの同意が必要になる。

 団体はこれについて、子どもが知ることのできる情報を限定すべきでない▽ドナーが開示の可否を決めるのでは、子どもの権利を行使できない▽成人するまで開示請求できないのは、子どもの成長や発達に不利になる――と指摘した。

 会見した当事者の大羽やよいさん(仮名、40代)は、AIDで生まれたことを29歳で知り、ドナーの情報を求めて生まれた産院に問い合わせたが、「当時のカルテはなく、あっても子には開示できない」と言われた。大羽さんは「私は自分に開いた穴、アイデンティティーの空白を埋めたい。属性ではなくドナーその人を知りたいのに、法案は生まれた人の気持ちを無視している」と批判した。【寺町六花】

毎日新聞

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