「嫡出推定」見直し1年 無戸籍の解消進まず 救済制度の期限迫る
親が出生届を出さずに子が無戸籍になる問題の解決を図るため、子の父親を決める「嫡出推定」のルールを見直した改正民法の施行から間もなく1年になるが、無戸籍の解消が進んでいない。嫡出推定が原因の無戸籍者は今も500人を超えているとみられるが、施行前に生まれた子を対象にした特例の救済制度の期限が3月末に迫っている。
法律上の婚姻関係にある夫婦の子は嫡出子と呼ばれる。嫡出推定は父子関係を定める仕組みで「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する」と民法772条に規定されている。「嫡出否認」の手続きが取られない限りは父子関係が確定するが、実際には別の男性の子であっても前夫の子と推定されるため、出生届を出さずに子が無戸籍になる問題が相次いだ。
そこで2024年4月に施行された改正民法は、離婚後300日以内でも女性が再婚した後に生まれた子は新しい夫の子と推定する例外を新設した。父だけに限られていた嫡出否認の権利を母子側にも認め、訴えられる期間も1年以内から原則3年に延ばした。
改正民法は施行日以降に生まれた子に適用されるため、国は施行前に生まれた子についても25年3月末までに限って、母子側が嫡出否認の申し立てができる救済制度を設け、対象者に個別に通知した。
法務省が施行前の24年3月時点で把握していた無戸籍者は771人。このうち7割超となる568人は嫡出推定を避けるために無戸籍になっており、救済制度が無戸籍問題の解消につながると期待されていた。
しかし、施行から9カ月がたった25年1月でも無戸籍者は711人で、513人は嫡出推定を理由にしていた。513人には施行後に生まれた無戸籍者も含まれ得るが、法務省は513人に、救済制度の対象となる無戸籍者が何人いるかは集計していないという。
「民法772条による無戸籍児家族の会」代表の井戸まさえさん(59)は22年12月の国会審議で、「(嫡出否認権の母子側への拡大が)無戸籍問題の切り札のように言われているが、極めて効果は薄い」と課題を指摘していた。
救済制度の利用が進まない要因の一つとされるのが、嫡出否認の仕組みだ。母子側が前夫を相手取った調停を家裁に申し立てる必要があるため、前夫と関わりたくなかったり、子の存在を知られたくなかったりする事情がある場合には利用しづらい。
嫡出否認よりも前夫の関与の度合いが少ない別の手段としては、子側が裁判所で血縁上の父に認知を求める「強制認知」の手続きもある。
井戸さんによると、前夫との接点を避けたいと考える母子は強制認知で無戸籍を解消してきたというが、強制認知では血縁上のつながりを客観的に説明する必要があるため、DNA型鑑定を求められることが多い。前夫と合意できるのであれば嫡出否認の方が手間はかからないという。
どの手続きが利用しやすいかは無戸籍者それぞれで異なる。井戸さんは「一人一人に丁寧な対応が求められるのに、法務省が救済制度の利用状況を把握していないのは無責任。すべての無戸籍者の事情を検証して、抜本的な問題の解決方法を検討すべきだ」と訴えている。【三上健太郎】
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