藤井名人の8冠再制覇を阻止 叡王戦準決勝、糸谷八段が喜び語る

2025/02/25 19:26 

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 将棋の8冠再制覇を目指していた藤井聡太名人(22)は25日、大阪府高槻市の関西将棋会館で指された第10期叡王戦(不二家主催)の本戦準決勝で糸谷哲郎八段(36)に敗れ、伊藤匠叡王(22)への挑戦はならなかった。

 藤井名人と9度目の対戦で初勝利を挙げ、8冠再挑戦を阻止した糸谷八段は「とりあえず1勝できてよかった。ご無沙汰しているタイトル戦に進出したいです」と喜びを語った。

 糸谷八段は竜王1期。2021年の棋王戦に挑戦者として出場して以来、タイトル戦から遠のいている。早指しが特徴の棋士だが、本局は午前中の序盤から約30分考え込んだ。想定した局面と駒の配置が微妙に違い、「ちょっとの違いが結構大きな違いになりやすい将棋なので、慎重に戦いを進めようと思っていた」ためだった。

 午後になって、藤井名人が見落としていた受けの好手を指してペースを握った。しかし、「終盤でうっかりがあって焦ったんですけど、自玉に詰みがない時に(敵玉の詰みを)確認して一手勝てるかなと思いました」と藤井名人の巧みな粘りに手を焼いたものの、最後は見事に藤井玉を即詰みに討ち取った。

 今期の名人戦B級1組順位戦では1月に1局を残してA級復帰を決めた。「早めに(叡王戦に)傾注することができ、目の前の一局一局にちゃんと力をつぎ込めています」と復調をうかがわせる。

 挑戦者決定戦では、もう一つの準決勝、永瀬拓矢九段(32)―斎藤慎太郎八段(31)戦の勝者と対戦する。「まだ相手が決まっていないですが、どちらが来ても強敵なので本局と同じようにちゃんと準備をして挑めればと思っています」。4年ぶりの大舞台に向けて気を引き締めた。【丸山進】

毎日新聞

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