「涙が乾くことはない」 地下鉄サリン30年、遺族ら風化防止訴え

2025/03/15 20:03 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 14人が死亡、6000人以上が負傷したオウム真理教による地下鉄サリン事件から20日で30年となるのを前に、事件の風化防止を訴える集会が15日、東京都千代田区で開かれた。約200人が参加し、夫を亡くした高橋シズヱさん(78)は「30年たっても涙が乾くことはない」と心境を語った。

 高橋さんは「風化とよく言われるが、反発したくなる」と吐露。遺族や被害者の有志が自身の経験を伝えるウェブサイトを開設したことを明らかにし「被害者はサリンの後遺症の苦しみと闘いながら、風化を防ぐためにできる限り尽くしている」と訴えた。

 事件を巡っては、教団の主流派後継団体「アレフ」に対し、約10億円の賠償金の支払いを命じる判決が2020年に最高裁で確定したが、未払いのままになっている。

 被害者らへの賠償手続きを担う「オウム真理教犯罪被害者支援機構」理事長の宇都宮健児弁護士は「賠償金の支払いを免れるためにアレフは悪質な資産隠しをしている」と主張。「被害者の高齢化が進み、亡くなった人もいる。一刻も早くアレフから賠償金を回収して被害者に配当したい」と話した。【木下翔太郎】

毎日新聞

社会

社会一覧>