不正事務が20年続き、介護保険特別会計に3億円損害 埼玉・和光市

2025/03/19 22:48 

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 約20年間続いた埼玉県和光市職員の不正行為や不適切な事務が原因で、同市の介護保険特別会計に約3億円の損害が生じていたことが19日、明らかになった。市が同日の市議会に、損害を一般会計などから補塡(ほてん)する補正予算案を提出し可決された。今後、被保険者に1人当たり約1万2000円の負担を求め、約2億1000万円を回収する方針。残り9000万円は徴収済みの介護保険料で賄う。

 市長寿あんしん課によると、市は2004年度に事業者に支払う介護保険の給付費を11カ月分しか支出せず、最後の1カ月分、約1億2000万円を05年度に回した。予算残高が7000万円しかなかったためとみられる。翌年度以降も同様の「先送り」を繰り返し、同課職員が毎年、決算書を不正に作り替え先送りがないように装っていたという。

 不正は昨年6月に発覚。梅津俊之課長は「(作り替えに)気づいて、ありえない不正だと思った」と話す。損害額は約20年を経て、現在の支出額1カ月分にあたる約3億円に膨れ上がったという。

 議会には、この問題など多数の事務的ミスの責任を取るとして市長らの4月の給料を減額する議案が提出されていたが、この日、市議から「ミスは重大で(この程度の処分では)納得できない」などの意見が出て否決された。【高木昭午】

毎日新聞

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