「自民の金権政治体質」 岸田前首相も商品券配布で野党が批判

2025/03/19 20:44 

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 石破茂首相側が自民党衆院1期生に商品券を配った問題に関連し、岸田文雄前政権下でも党所属議員に同様の商品券配布が行われていたことが判明した。野党からは自民の歴代政権の問題だとして、党の体質を問う声が相次いだ。

 首相は19日の参院予算委員会で、岸田氏側から自民党議員らが商品券10万円分を受け取ったとする報道について「承知しているが私が確認をしたものでもない。コメントを申し上げる立場にはない」と述べるにとどめた。

 これに対し立憲民主党の野田佳彦代表は「自民の政治文化の問題ではないか。構造的に根深い問題になってきた」と記者団に語った。

 国民民主党の古川元久代表代行も19日の記者会見で、「歴代首相の慣例になっていたのではないかという疑念を持たれても仕方がない」と指摘。「党としてきちんと調べ、国民に説明する必要がある」と述べた。日本維新の会の岩谷良平幹事長は会見で、「まさに自民の体質そのものを表す事案だ。昔ながらの金権政治を引きずる体質が表れている」と批判した。

 第2次安倍晋三政権でも公邸での会食前、自民議員に数十万円分の商品券が配られたとの証言が毎日新聞の取材で明らかになっている。共産党の井上哲士氏は参院予算委で、匿名の自民現職が「しんぶん赤旗日曜版」の取材に応じ、安倍政権での商品券配布について語ったと紹介。「慣例が引き継がれたのではないか」と首相を追及した。首相は「どの議員が答えたか全く存じない。自分の名前を明らかにしないのはフェアだと思っていない」と答えなかった。

 また、首相は参院予算委で、首相就任後に商品券を配った回数について「現在確認中だ」と述べた。これまで「両手で数えて足りるか足りないかぐらい」などとしていた答弁は菓子折りなども含めたものだったとした上で「会合を積極的にやってこなかったが、回数などについては確たる答えをしなければならない」と述べ、具体的に確認する意向を明らかにした。

 商品券の配布のため使途公開義務がない「政策活動費」を使うことがあるかについても野党議員から問われ、首相は「あり得る」と言及したが、自身については「今回お前が使ったお金はそうなのかと言われれば、そうではない」と強調した。【樋口淳也、田中裕之、安部志帆子】

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