「マイナ免許証」24日から開始 メリット複数、でも紛失時に手間?

2025/03/23 08:30 

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 マイナンバーカードと運転免許証を一体化した「マイナ免許証」の運用が24日から全国一斉に始まる。ただ、従来の運転免許証もそのまま使うことができ、どの免許証を選ぶかは持ち主の自由だ。マイナ免許証になると何が変わるのか。

 マイナ免許証は、運転免許の種類や有効期限、顔写真などの情報をマイナカード内のICチップに記録する。そのため、マイナカードが免許証の役割も持ち、現場の警察官はマイナカードを端末で読み取ることで、免許情報を確認する。

 ただ、マイナ免許証への切り替えは強制ではなく、今後は①従来型のみ②マイナ免許証のみ③従来型とマイナ免許証の両方を所有――の3パターンを自由に選択できる。海外で運転する場合などには、従来型の免許証の提示を求められるケースもある。

 それほど大きな変化は見られないようにも思えるが、マイナ免許証にするといくつかのメリットもある。

 一つは各種手数料の安さだ。更新手数料は従来型が2850円になるのに対し、マイナ免許証は2100円(両方所有の場合2950円)となり割安だ。新規の免許取得手数料も、従来型が2350円なのに対し、マイナ免許証は1550円(同2450円)で800円も安くなる。

 また、住所や氏名などを変更する際、従来型は警察署や運転免許センターで別途変更手続きをする必要があるが、マイナ免許証は市区町村役場で「ワンストップ」で変更手続きが可能となる。他にも、マイナ免許証を持っていれば、更新時の優良または一般運転者講習をパソコンやスマートフォンを使って好きなときにオンラインで受講できる。

 ただ、もし紛失してしまった場合には不便が生じる。従来型は即日で再交付が可能だが、マイナ免許証は市区町村役場でマイナカードの再交付手続きをする必要があり、再交付までに少なくとも1週間程度かかる。その上、警察の窓口でも別途手続きが必要となる。

 さらに手間がかかるケースもあるようだ。マイナ免許証の場合、1枚のカード上にマイナカードと運転免許証それぞれの有効期限が存在する。現状のシステムでは、マイナ免許証を取得した後にマイナカードの有効期限が来て更新した場合、免許証との一体化手続きを警察の窓口で再度やり直さなければならない。

 国は現在、マイナカード更新時に免許証情報も自動的に反映されるシステムに改善作業中で、運用開始は秋ごろを見込む。坂井学国家公安委員長は18日の記者会見で、二度手間を避けるために「マイナカードの期限が近付いている人は、カード更新後にマイナ免許証の手続きをしてほしい」と呼び掛けた。

 従来型か、マイナ免許証か。決めかねている利用者は多い。

 「オンライン講習ができるのでマイナ免許証に変えたいとは思っている。でも、手続きが複雑そう」。更新時講習を受けるため、愛知県警運転免許試験場(名古屋市天白区)を訪れていた50代女性は、迷いを見せた。もし手続きする場合には息子に付き添ってもらうつもりだが、「もう少し様子を見てみようと思う」と二の足を踏んでいた。

 マイナ免許証の手続きは24日から全国の警察署や運転免許センターなどで可能となる。システムの移行作業などのため、22~23日は全国で免許更新などの手続きができなくなる。

 愛知県警の姫島祥光運転免許課長は「あくまでも任意の手続きで、新たな選択肢が増えるということ。それぞれにとってのメリットを考えて、一番良い形を選んでほしい」と話している。【田中理知】

毎日新聞

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