陸自湯布院駐屯地に地対艦ミサイル連隊 長射程配備可能性に抗議も

2025/03/30 21:13 

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 陸上自衛隊湯布院駐屯地(大分県由布市)で30日、南西地域の防衛力強化の一環で発足した「第8地対艦ミサイル連隊」の編成完結式が開かれた。駐屯地は政府が開発を進める長射程ミサイルの配備先となる可能性があり、駐屯地周辺では市民らが抗議の声を上げた。

 政府は2022年に策定した防衛力整備計画で、敵の射程圏外から攻撃できる「スタンドオフミサイル」の運用部隊として地対艦ミサイル連隊を7個編成することを掲げており、今回で整備が完了したことになる。

 第8連隊は、ミサイル防衛の拠点として昨年発足した「第2特科団」の下に300人規模で設置。国産の「12式地対艦誘導弾」や「88式地対艦誘導弾」を配備する。湯布院駐屯地に配置を決めた理由について、陸自は、近隣に日出生台(ひじゅうだい)演習場があり、訓練環境が整っている点などを挙げた。

 式典には、隊員や防衛省幹部ら計約250人が出席。本田太郎副防衛相が連隊長の山田大作1等陸佐に連隊旗を手渡し、「重責を担う自覚と誇りを胸に、任務に精励してください」と述べた。

 一方、政府は「12式」の能力向上型で反撃能力(敵基地攻撃能力)に活用する長射程ミサイルの配備を検討。湯布院駐屯地が配備先となる可能性もあるが、陸自は「具体的な配備先は検討中」としている。連隊の設置に抗議する市民らはこの日、駐屯地周辺で「(設置は)観光地の湯布院にとってマイナスでしかない」などと声を上げ、隊の廃止を求める抗議文を駐屯地の隊員に手渡した。【李英浩】

毎日新聞

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