大阪万博の運営学ぶインドネシア人 “官民連携”の仕事ぶりに驚き
13日に開幕した大阪・関西万博には、その運営方法を学ぼうとする海外の人たちも訪れている。国際協力機構(JICA)が実施している研修には東南アジア諸国連合(ASEAN)などの行政職員が参加し、自国での国際イベントで生かそうとしている。ただお国柄の違いもあり、驚かされることも多いようだ。
JICA主催の研修は2~6月と6~10月の2回。前期にはタイやフィリピン、カンボジアなどから計6人が参加している。インドネシア国家開発企画庁のプランナー、ハヤ・フスヌルさん(38)もその一人だ。「将来、自国で国際イベントを開催するために、日本のスタイルを導入したい」と意気込む。
ハヤさんはインドネシアの航空会社などで勤務した後、2014年から国家開発企画庁で中長期の開発計画の策定に関わっている。各省庁は、この計画に沿ってプロジェクトを進めていく。ハヤさんは「国にとって、プランニングは一番重要な部分。計画が良ければ、将来良い結果が出せるはず。計画が国民のためになっていると考えると、とてもやりがいを感じる」と話す。
しかし、働く中で自国が抱える課題を感じてきた。資金調達の問題だ。ハヤさんは現在、投資をしてもらうために国際援助機関などとの調整役も担う。インドネシアでは資金不足の問題で計画が実行できないケースが多いという。万博のように多額の費用がかかる大規模イベントの開催実績がある日本で、資金調達や開催までの流れを学びたいと思い、研修への参加を決めた。
来日して2カ月。これまで、日本国際博覧会協会(万博協会)の国際局やイベント局などで万博の準備・運営プロセスなどを学んだ。また、3月に大阪市内で開催された「デンマーク&スペインEXPOフェスティバル」では、来場者に万博をPRした。万博期間中は、参加国・地域が日替わりでイベントを披露する「ナショナルデー」の支援や海外メディアの対応などを担当する。
万博会場では、大屋根「リング」に京都・清水寺の「清水の舞台」で用いられる「貫(ぬき)」の伝統工法が取り入れられていたり、祈とう室に畳が使用されていたりするところを見て回り、感銘を受けたという。
初めての会場視察では、まだ建設中のパビリオンもあり、「本当にこれで開催できるのか」と不安がよぎった。だが、4月上旬に「リング」から会場を眺め、「あと少しで完成しそうだ」と安心した。
研修が進む中で、ハヤさんが驚いたことがある。それは、万博協会の職員が行政と民間から出向してきていることだ。インドネシアでは、政府と民間が一緒になって新しい組織をつくることはないという。「民間からの知見も集めれば、資金も調達しやすくなる。ステークホルダー(利害関係者)とのスムーズな調整の仕方も学びたい」と意欲的だ。
「会場内を歩かせるところが日本人ぽい」とも話す。インドネシアは高温多湿な気候の影響のため、歩くことを好まない人が多い。大規模な公園や動物園にはシャトルバスがあり、大半が利用するという。研修では、驚きや発見の日々が続く。
東アジアでこれまで万博を開催したのは、日本と中国のみ。ハヤさんは「いつかインドネシアが東南アジア初の万博開催国になった時には、担当者になって運営に関わりたい」と強く願う。未来の万博に向けて、引き続き学んでいく。【面川美栄】
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