上田議員の公設秘書、元記者への性暴力は「職務中」 東京地裁が認定

2025/04/24 21:02 

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 上田清司参院議員(前埼玉県知事)の公設秘書の男性から性暴力を受けたとして、報道機関の元記者の女性が国に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は24日、国に440万円の賠償を命じた。中村心裁判長は、公設秘書が取材を受けるという職務中に性暴力に及んだと認定した。

 判決によると、記者だった女性は2020年3月、埼玉県内で公設秘書を含む6人で会食し、帰宅途中のタクシー内で公設秘書から無理やり体を触られた。その3日後にも公設秘書から上田議員の動向に関する情報があると誘い出され、会食後に飲酒の影響で抵抗できない状態で性暴力の被害に遭った。

 女性は公設秘書を告訴し、埼玉県警は20年8月に準強制性交等容疑などで書類送検。直後に公設秘書は自殺した。女性は被害後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した。

 国家賠償法は、公務員が職務上で他人に違法に損害を与えた場合、国などが責任を負うと定めている。主な争点は、①性暴力の有無②特別職の国家公務員である公設秘書の行為が職務上のものと言えるのか――だった。

 判決は、女性は取材のために公設秘書と会食していたとし、タクシー内のわいせつ行為、性暴力のいずれも女性の同意はなかったと認定。②については、公設秘書には上田議員の動向に関する情報提供を示唆しながら、女性と性行為をする目的があったことが推認されるが、記者への取材対応は公設秘書の職務の一つだと判断した。

 上田議員の事務所は、訴訟の当事者ではないとした上で「心より女性にお見舞いを申し上げたい。あらゆるハラスメントの根絶に努力する」とコメントした。【安元久美子】

毎日新聞

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