つなげ文化のバトン 「アンパンマン図書館」復活求め署名提出 高知

2025/04/26 10:45 

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 高知県香美市の市民グループが24日、同市にあった「アンパンマン図書館」の復活を含めた新図書館の建設を求める2688人分の署名を、依光晃一郎市長に提出した。

 アンパンマン図書館は1997年、旧香北町中央公民館別館図書室(合併後は香美市立図書館香北分館)の2階に設けられた。旧香北町(現香美市)出身の漫画家・やなせたかしさんの「子どもたちが文化や芸術を学ぶ入り口になってほしい」との思いから実現した。自身や著名人などが寄贈した文学書や美術書などが配架され、大人も子どもも共に学び、楽しめる場となっていた。

 2021年、同分館の老朽化が深刻となり、近くの香美市基幹集落センター1階に移転した。アンパンマン図書館は「やなせたかしコーナー」になったが、従来よりスペースが狭いため、寄贈された約4000冊の多くは配架できずに倉庫で保管せざるを得なくなった。著名人の署名が入った希少本も含まれているという。

 市民から「やなせさんが町に残してくれた文化のバトンをつなぎたい」との声が強まり、「『アンパンマン図書館(愛称)』復活の会」と「アンパンマン図書館からまちづくりを考える会」の両団体が、3月から図書館建設を求める署名集めを開始。「やなせたかしさんなどから寄贈された書籍を配架できる図書館を新設する」「地域住民が本に親しみ、集い、学び合うことができるゆとりある図書館を整備する」――と要望する内容で、約1カ月で2600人以上の賛同署名が集まった。

 署名を受け取った依光市長は「アンパンマン図書館が出来た時のやなせ先生の喜んでいた姿を写真で見て、意思を受け継ぎたいと思った。できれば『アンパンマン図書館』という名前を使いたい」と述べ、図書館の復活・新設について前向きな姿勢を示した。具体的な方法としては、「やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団」と協議し、建物の建設を依頼したうえで、市は補助金で支援するという枠組みを想定するとした。

 「まちづくりを考える会」の代表を務める森本絵弥さん(50)は「多くの子どもたちが、アンパンマン図書館の本に実際に触れて育った。本を置くことも大事だが、やなせ先生が子どもたちにどう育ってほしいと願っていたのか、どんな町になってほしいと考えていたのかを市長も含めて一緒に考えていきたい」と話した。【小林理】

毎日新聞

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