人々が足とめ 地域猫「平吉」と住民の平和な光景 福岡・西鉄小郡駅

2025/05/08 10:00 

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 西鉄小郡駅(福岡県小郡市)のロータリー歩道に座っている白い地域猫がいる。電車から降りた女子高校生がなでに行き、男性会社員が「今日もいた」と駆け寄る。春の日が差す歩道で、住民と猫の平和な光景が続いている。

 不妊去勢手術した猫はオスで推定13歳、人間だと古希間近になる。名前は平吉。いるのはたいてい「美容室カトレア」前の歩道で、オーナーの天本遼子さん(75)が、9年前に店に入ってきたところを保護した。エサはやるが寝場所は店の外に作り、地域猫として駅前や店内で自由に過ごしている。

 猫好きの天本さん。過去にも猫を保護したが、事故にあったりいなくなったりで平吉が一番長い。地域の人も気にかけて、店の入り口にエサが届けられたりする。風呂嫌いだが身体は拭いて身ぎれいにしており、スタッフが当番制で店休日もエサをやっている。

 平吉が歩道に寝そべると、駅に行き来する人々が足をとめて眺める。おとなしい平吉は人が寄ってきても逃げず、相手が誰でもなでられる。終わるとまた座って目をつぶる。

 駅出口の青果店も居場所で、商品棚に登ったりするが、店員の立石翔子さん(32)は「看板猫みたいな感じです」と屈託がない。

 周囲の住民に愛されて過ごす平吉。天本さんが3年前の開店50年で市に寄付したストリートピアノ(小郡イオン内)の愛称は「HEIKICHIピアノ」。ピアノには猫が描かれ、市のホームページには「駅の看板猫・平吉のように皆さんに愛されるピアノになってほしい」と書かれている。【前田博之】

毎日新聞

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