JR山手線乱れ、2日間25万人影響 電車21本でパンタグラフ損傷

2025/05/23 17:10 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 JR山手線は22日夜、外回りの電車でパンタグラフが折れ曲がっているのが見つかり、同日の運転を取りやめた。新橋駅(東京都港区)付近の架線設備でも断線が判明するなどしたため、23日は始発から外回りと内回りの全線で一時運転を見合わせた。午前8時25分ごろまでに全線で再開したが、2日間で計176本が運休し、約24万9000人に影響が出た。

 JR東日本によると、山手線は22日午後9時40分ごろ、走行中の電車の車掌がパンタグラフと送電線の間から火花が出ている様子を確認。外回りの運転を取りやめて点検したところ、21本の電車でパンタグラフの一部が曲がるなどの損傷が見つかった。

 また、新橋駅付近では電車に送電するための線を支える架線が切れていた。JR東はこの架線が金具との接続部分の不具合で断線し、走行中の電車のパンタグラフに接触して損傷させた可能性があるとみている。

 現場の架線は昨年11月に取り付けられていた。JR東は当時の施工に問題があった可能性があるとみて、直近1年以内に同種の取り付け工事をした50カ所を24日始発までに緊急点検する。JR東の塩原敬執行役員は「設備故障が原因で多くのお客様が利用する山手線で、朝の通勤通学にかかる形で長時間の運転見合わせとなったことを深くおわび申し上げる」と謝罪した。

 一連のトラブルで首都の交通網は大きく乱れた。23日朝に通勤のため、JR渋谷駅で乗り換えた埼玉県内に住む会社員の男性(50)は「始発から山手線が動いていないことは分かっていたが、出勤しなければいけないのでここまで来た。仕事に間に合わない」とため息をついた。通学途中の中学2年の男子生徒は「学校にはたどり着けるが、遅刻は確定」と足早に改札に向かった。

 渋谷駅前のファストフード店では、店員が「本日お時間がかかります」と大きな声で案内していた。商品の提供にも30分以上かかっている様子で、別の店員は「山手線が止まって、スタッフが何人かいないんです。すみません」と言いながら接客に追われていた。【山田豊、大場弘行】

毎日新聞

社会

社会一覧>