大の里優勝で仮設の祖父も喜び 「石川に光、大鵬さんみたいに」

2025/05/23 18:31 

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 「やったー」「被災地から横綱誕生だー」――。大相撲夏場所13日目の23日、石川県津幡町出身の大関・大の里(24)=本名・中村泰輝(だいき)、二所ノ関部屋=が2場所連続優勝を果たし、場所後の横綱昇進が濃厚になった。地元の津幡町役場ではパブリックビューイング(PV)が開かれ、集まった大勢の町民が喜びを分かち合った。

 大の里の母方の祖父、坪内勇さん(76)は、能登半島地震で甚大な液状化被害を受けた石川県内灘町に暮らす。町内の仮設住宅暮らしが続く中、孫の快進撃に顔をほころばせた。

 幼い頃に動物園に連れて行くなどかわいがっていた孫が、みるみるうち強豪力士に。それでも初土俵からまだ2年。「今までずっとハラハラですな。つまずくと精神面で心配」と気をもむ。

 地震で自宅は大規模半壊となり、昨年4月に仮設住宅に入った。本場所中は毎夕、テレビ観戦するのが日課だ。今場所前は、調整が不十分というニュースが流れ、「優勝した翌場所は不調だったので、今場所もか」と懸念していたという坪内さん。4日目にライバル、王鵬を破った時に「これは、いける。いつも前半につまずくと言われるけど、先場所までとは違う」と感じたという。

 良い指導者に恵まれたと感謝を口にする坪内さん。知り合いに会うたびに声を掛けられるといい、「地震があって、どの人も苦しんでいた。私も大変だった。それが優勝して、光を与えてくれた。こんなうれしいことはない。石川を元気にしてくれている」と喜ぶ。

 横綱になれば、先人たちと比べられる立場だ。「あとはどれだけ優勝回数を重ねられるか。(優勝32回の)大鵬さんみたいになってほしい。自分が横綱だという風格を持って」とエールを送る。偉業を達成した孫に今度会ったら「頑張ったな。けがをしないようこれからも頑張って」とねぎらうつもりだ。

毎日新聞

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