水俣病、行政認定ハードル高く 「苦しみを分かろうとしてくれない」
新潟水俣病の公式確認から31日で60年となるのを前に、新潟県や新潟市を相手取り行政認定を求める集団訴訟の原告らが、新潟市内で記者会見を開いた。長年にわたり症状に悩まされてきたという70代の女性=阿賀野市=は「本当のことを話しているのに苦しみを分かろうとしてくれない。『自分事』として捉えてほしい」と声を詰まらせながら訴えた。
女性は2014年、認定申請をしたが、棄却された。環境省が設置する公害健康被害不服審査会に異議を申し立てたが、25年に「棄却」を告げる裁決書が届いた。「適当すぎる」「本当に分かっていない」――。どこにもぶつけることができない怒りを裁決書に書き殴った。
父や祖父は阿賀野川から土砂を採取する仕事をする傍ら、川で取れた魚をよく家に持ち帰っていた。当時はスーパーやコンビニもない時代。毎日の食卓に上るのはもちろん、中学、高校時代には弁当のおかずにもなっていた。
今振り返れば、幼い頃からブランコに乗ろうとすると吐き気に襲われたり、鉄棒で回ることができなかったり。当時はそんなものかと気に留めることはなかった。社会人になり上京し、結婚。だが、子どもを出産してからは手足のしびれやめまいといった症状は強くなった。その時も周りから「産後の肥立ちが悪いのだろう」と片付けられた。
その後、両親と妹は1995年の政治解決や2009年に施行された水俣病被害者救済特別措置法(特措法)による救済を受けたが、女性はその時に申請できなかった。勤め先に「水俣病」と知られることが怖かったからだ。原因不明の足の痛みで入院した時も、水俣病の可能性があることを医師に伝えることができなかった。
母を介護するため地元に戻り認定申請をしたが、棄却され、異議も認められなかった。両親が地元漁協の組合員でなかったことなどから、魚を多食していたとは言えないと判断されたという。「私たちは何か罪を犯したわけじゃないのに、本当のことを伝えても認めてもらえない。どうしたらいいのか」
今なお手足のしびれはもちろん、横になると決まって足がつる。布団の上げ下ろしも力が入らない。
公式確認から60年となる31日には新潟市内で環境相との懇談などが予定されている。女性も参加して思いを伝える。「次々と大臣が代わって(思いを伝えることに)意味があるのかと思うこともある。でも言わないと分かってもらえない」
女性が原告として名を連ねる訴訟は19年2月に認定処分を行う県や新潟市を相手取り提訴され、現在も新潟地裁で係争中。原告8人中1人は提訴後に亡くなった。【戸田紗友莉】
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