自動車排ガス、ぜんそく公害紛争 公調委が患者の賠償請求を認めず
1970年代後半からの自動車の排ガスによる大気汚染でぜんそくを発症したとして、大都市圏の患者158人が国と自動車メーカー7社に損害賠償を求めて申請した公害紛争で、公害等調整委員会(永野厚郎委員長)は2日、請求を棄却する「責任裁定」を下した。
申請していたのは、関東の1都3県や愛知県、大阪府に住む患者で、1人当たり100万円の賠償を求めていた。患者側は、全国一律に医療費の自己負担分全額を助成する制度の創設も求めている。今回の手続きで国と自動車メーカーの賠償責任を明確にして制度創設につなげる狙いだったが、公調委は賠償責任を認めなかった。
今回の公害紛争では2022年11月~24年12月、計10回の「審問」が開かれた。患者側はメーカーが有害な粒子状物質を排ガスに多く含むディーゼル車を競って販売し、国は規制を怠ったと主張。一方、メーカー側は「自動車の排ガスとぜんそく発症の因果関係は、いまだに医学的見地からも疑問が呈されている」、国側は「専門家による審議・答申の結果などを踏まえ、その時々に応じて可能な限り厳しい規制を行ってきた」などと反論していた。
大気汚染公害に関する医療費助成制度を巡っては、東京都内のぜんそく患者が国や都などに賠償を求めた東京大気汚染訴訟の和解成立を受け、都が08年から患者の自己負担を全額助成する独自の制度を始めたが、15年に対象者の新規認定を打ち切った。
患者側は19年、国が医療費助成制度を創設し、メーカー7社が相応の財源負担をするよう求める「調停」を公調委に申請。しかし、公調委は「主張に隔たりが大きく、合意が成立する見込みがない」として21年に手続きを打ち切っていた。
責任裁定は民事裁判に似た手続きで、当事者が公開の場で主張し合い、3人または5人の公調委の委員が賠償責任の有無や賠償額を判断する。裁定に不服があれば、30日以内に民事訴訟を起こす必要がある。【松本惇】
◇公害等調整委員会
大気汚染や水質汚濁、騒音などの公害を巡る争いについて、解決を図る国の機関。裁判に似た手続きを取るが、委員会側が資料収集や調査を行えるなど、より迅速な救済に向けた仕組みがある。委員は7人で、元裁判官や学者、医師らが選ばれている。「責任裁定」は当事者が公開の場で主張し合い、3人または5人の委員で構成する裁定委員会が賠償責任の有無や賠償額を判断する。
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