駆け込み年間9300件超、通り魔からも コンビニの意外な「役割」

2025/06/25 11:00 

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 地域の安全を守ろうと、コンビニエンスストア業界が国内5万超の店舗で取り組む活動が、全国展開から20年を迎える。

 身の危険を感じた女性や子どもらの駆け込み先となる「セーフティステーション(SS)活動」だ。

 昨年の駆け込み対応件数は延べ9300件以上。夜道で通り魔に襲われた女性を守るなど成果を上げている。

 主に、不審者のつきまとい▽知らない人からの声かけ▽DV(家庭内暴力)――などから逃れてきた人や急病人、迷子などを救ってきた。

 茨城県筑西市のあるコンビニでは2023年、「父親から殴られている。助けてほしい」と駆け込んできた中学1年の女子生徒を救った。

 神奈川県内では17年、20代女性が「不審な男に刃物を突きつけられ、体を触られたので、隙(すき)を見て逃げてきました」と駆け込んできた。

 活動はセブン―イレブン、ファミリーマート、ローソンなど、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)に加盟するコンビニ7社が05年から全国で推進。24年末現在の協力店舗数は、国内全体の99%にあたる5万6861店まで広がっている。

 警察白書によると、全国の交番は25年間で約6600カ所(00年)から6215カ所(24年)、駐在所も約8100カ所(00年)から5923カ所(24年)に減少。地域で見守り・駆け込み対応機能を維持するために、コンビニ業界が果たす役割は小さくない。

 JFAのSS活動推進委員長、服部岳士さん(60)は「コンビニ事業者の多くはその土地の皆さんに親切に、誠意ある対応をしたいと考えている。そうした商売の基本を積み重ね、一層、地域の安全に貢献していきたい」と話している。【伊藤遥】

毎日新聞

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