柏崎刈羽の再稼働 知事の「見極め」へ初の公聴会も制限厳しく
花角英世・新潟県知事が東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に対する県民の意思を「見極める」ための「公聴会」が29日、原発立地の柏崎市などを対象に開かれる。一般的な公聴会は原則公開されるが、この「公聴会」は開催会場は公開されず、一般傍聴もなく、報道取材はオンラインの画面越しに意見聴取する様子のみ。著しく制限された「公聴会」は、果たして、県民の納得する公聴会となるのだろうか。
花角氏は再稼働の是非の判断について「県民の意思を見極め、リーダーとして結論を出し、その判断について県民の意思を確認する」と繰り返してきた。現在は「見極め」の段階だ。その手法の一つとして行う「公聴会」は8月末までに県内5カ所で開かれ、29日はその初回となる。
公聴会は一般的に、国会法や行政手続法を受けた都市計画法、建築基準法、環境影響評価法などに基づくものがある。また自治体によっては条例などで開催を定めている。それらは原則公開で行われる。
しかし、今回の「公聴会」は法令上の根拠を持たない。そもそも原発再稼働の地元同意に法的根拠はない。このため「公聴会」の開催方法は県が独自に決めた。
県が5月末に初めて公表した「公聴会」の開催概要は、会場は非公表・非公開▽公述人は原則匿名▽公述状況の一般傍聴と報道取材は受け入れない▽音声のみをオンライン配信――というものだった。
花角氏は記者会見で「いろいろな団体の動きが報道されている。そういう団体と違う意見を発言する人はものすごい圧力を感じるかもしれない」などと述べ、公述人への配慮から公開を制限することの妥当性を強調した。
だが、県内の主要報道機関が加盟する県政記者クラブは花角氏に対し、取材の真実性を担保するため公開を求め続け、県当局とも交渉。改善が見られず、花角氏宛ての抗議文を出す異例の事態となった。
その結果、公述人が同意すれば、一部または全部の個人情報や公述状況が公開されることになり、オンラインの画面越しで公述状況を県職員が聴取している場面を取材することが可能となった。
それでも、原則公開の一般的な公聴会とはかけ離れており、県議会6月定例会の代表質問では「(公述人の)匿名が続いた場合、発言の真実性に疑念が生じる」との指摘もなされた。
また、自身が出席しない「公聴会」の結果を受け、花角氏がどのように県民の意見を見極めるのかも注目される。【木下訓明】
◇原発再稼働の「公聴会」を巡る主な動き◇
<2024年9月>
11日・花角英世知事が記者会見で柏崎刈羽原発の再稼働に関する「県民の意思の見極め」の方法として、「公聴会というのは一つ(の方法として)あるんだろうなとは思っている」と発言
<25年4月>
18日・再稼働の是非を問う県民投票条例案が県議会で否決されたことを受けて、花角氏が報道陣に「市町村長との意見交換や公聴会、意識調査を検討する」と言及
<25年5月>
14日・花角氏が記者会見で「公聴会」について「早ければ6月から始めたい」との考えを示す
30日・県が「公聴会」の開催概要と公述人公募を発表。公述人の氏名や属性等は非公開、会場も非公開、一般傍聴や報道取材は受け入れず、公述人の発言はオンラインでの音声配信のみと説明
<25年6月>
4日・花角氏は記者会見で「公聴会」の非公開対応について、公述人に配慮する観点から「適切」と強調。原発に関連する過去の県民説明会の様子を挙げて「不安に感じる人がいっぱいいる」と言及。公述人は一般公募のほか、業界団体などからの推薦枠もあることを明らかに
5日・県政記者クラブ加盟各社が県の「公聴会」非公開の対応について協議。その後、県広報広聴課長に口頭で「公開を求める」と申し入れ。市民団体が花角氏宛てに公述人の団体推薦枠は「公聴会の公正・公平さを失わせることになる」として削除などを求める要請書を提出
9日・記者クラブが森永正幸危機管理監ら県当局と交渉。取材の真実性担保のために公聴会の報道への公開を要請するが、改善なし
10日・記者クラブが花角氏宛てに「公聴会」の公開を求める「抗議文」を提出
11日・花角氏が記者会見で、報道陣から「公聴会」に第三者が立ち会わなければ「真実性の確認ができない」とただされると、「失礼だ」と発言。これに対し報道陣が反発すると、「多くの皆さんが納得できる形で実務的にやりとりを続けてほしい」と譲歩を示唆
17日・県が「公聴会」のあり方を一部変更。公述人は自宅または非公開の施設からの出席とし、県職員が県庁の聴取会場からオンラインで意見を聴取し、その様子を報道機関に公開することにした。しかし一般傍聴と公述会場での取材は認めず
29日・「公聴会」開催
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