長崎・大村の同性カップル 就労目的「移転費」不支給で国提訴
雇用保険法に基づいて就労のため「移転費」の支給を申請した際、同性であることを理由にパートナー分を不支給処分としたのは違法として、申請した長崎県大村市の男性カップルが27日、国に処分の取り消しと慰謝料など計220万円の損害賠償を求めて長崎地裁に提訴した。原告代理人によると、同性パートナーへの移転費不支給の違法性を問う訴訟は初めて。
移転費は、雇用保険の受給資格者が就業などで転居する際に支給され、受給資格者の収入で生計を維持されている同居の親族も対象となる。国は、異性カップルならば事実婚のパートナーも「親族」として支給対象としている。
原告は松浦慶太さん(40)とパートナーの藤山裕太郎さん(40)。訴状などによると、2人は2024年3月に兵庫県から大村市に転居。大村市はLGBTQなど性的少数者のカップルの関係を公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入しており、同5月に松浦さんを「世帯主」、藤山さんを「夫(未届)」と記載した住民票を交付した。
これを受け、松浦さんは藤山さんの分も含めて移転費の支給を申請。しかし、大村公共職業安定所(ハローワーク)は25年1月、同性パートナーは親族に含まれないとして、藤山さん分を不支給とする処分を出した。2人は長崎労働局に審査請求したが、4月25日付の決定で棄却された。2人は「失業者が親族との同居を継続しながら再就職して生活の安定を図ることが移転費支給の目的だ。パートナーが同性であることを理由に不支給としたのは違法」と訴えている。
同性カップルを巡っては、最高裁が24年3月、犯罪被害者給付金の支給対象に事実婚状態の同性カップルも含まれるとの初判断を示した。松浦さんらの代理人の中川拓弁護士は提訴後の記者会見で「雇用保険法と同様の規定は他の社会保障関連法にも多くある。今回の訴訟を、同性カップルが社会保障を受けられるようにする突破口としたい」と説明。松浦さんは「LGBTQが制度上の不利益を受けていることを知ってもらい、人権保障について世論を喚起したい」、藤山さんは「社会保障からはじかれ、悲しい」と語った。
長崎労働局職業安定課の担当者は取材に「訴状が届いておらず、コメントできない」としている。【樋口岳大、添谷尚希】
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