希望する十島村住民は島外避難へ 鹿児島で震度6弱は28年ぶり

2025/07/03 21:03 

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 3日午後4時13分ごろ、鹿児島県十島村の悪石(あくせき)島で震度6弱の地震があった。気象庁によると、震源地はトカラ列島近海で震源の深さは約20キロ。地震の規模はマグニチュード(M)5・5と推定される。島内にいた74人は全員無事だった。

 近海では6月21日から地震が頻発して震度1以上の観測が1000回を超えており、十島村は希望する住民を島外に避難させる。避難先は鹿児島市の宿泊施設を想定している。鹿児島県は、村への災害救助法適用を決めた。

 気象庁によると、7月3日午後5時までに観測された震度1以上の地震は1050回(震度6弱が1回、5弱が3回、4が24回、3が69回、2が253回、1が700回)。この海域では過去にも短期間に数百回の地震が起きたが、今回は観測史上最多となっている。

 近海では2023年9月に346回(最大震度は4が2回)、21年12月に308回(最大震度5強が1回、4が2回)の地震が発生したが、回数はこれらを大きく上回っている。今回は、震度4以上の地震が多いことも特徴だ。

 トカラ列島近海で震度6弱を観測したのは、現在の観測体制になってから初めて。国内で震度6弱を観測したのは、24年8月に南海トラフ地震臨時情報が出た日向灘沖の地震以来。鹿児島県では1997年5月の薩摩地方が震源だった地震以来となった。

 気象庁は、地震の収束時期は見通せないとの見解を示し、当分の間、震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけた。また、「7月に大災害が起こる」といった予言や、トカラ列島近海の地震が大地震の前兆だとするうわさについては「今の科学技術では、地震予知はできない」と否定した。

 震度6弱の悪石島以外では小宝島(十島村)で震度3、諏訪之瀬島(十島村)などで震度2を観測した。【最上和喜、取違剛】

毎日新聞

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