サステナビリティー、どう生活に取り入れる? 大学准教授が本出版
環境負荷を減らし、持続可能な社会を目指す「サステナビリティー」。よく耳にする言葉だが、実際の生活に取り入れるにはどうすれば? そんな疑問を身近な「食」から考えてもらおうと、九州産業大の藤原なつみ准教授(環境社会学)が「サステナビリティの隘路(あいろ)―『持続可能な消費』の実現はなぜ難しいのか」を出版した。藤原さんに新著に込めた思いを聞いた。
「私たちの多くは持続可能な消費をしたいと思っていても、構造的な問題や情報不足によって実現できずにいる。サステナビリティーへの道のりは険しいのではないかという問いをまとめました」。藤原さんはタイトルの意図をこう説明する。
どういうことか。藤原さんが指摘する「道のりの険しさ」を、本に登場する消費者の言葉が象徴している。
<環境問題のことを考えれば、地元産の有機野菜を食べさせるのがいいんだと思います。でも、うちには3人子どもがいるし、食費に使えるお金って限られているじゃないですか。それって持続可能なのかなって>
<地元産の有機野菜をほんの少しだけ食べさせるより、ちょっとくらい農薬を使っていてもいいし、冷凍食品でも輸入品でもいいから、たくさん野菜を食べてほしいって思うんです>
藤原さんが実施したインタビュー調査で、子育て中の消費者が語った本音だ。この消費者にとってサステナビリティーと「子どもに多くの野菜を食べさせる」といった日々の生活のバランスは難しい問題。藤原さんは「持続可能性の意味が多義的であることを踏まえると、この価値観は否定されるものではない」と強調する。
実は藤原さんも同じような葛藤を抱えてきた。大学卒業後、金融系シンクタンクに就職。2児を出産後、仕事をしながら大学院に進んだ「社会人大学院生」として研究を続けたが、自身を「サステナビリティー迷子だった」と振り返る。
「妊娠中は『胎児のため』が最優先。産後も子どものアレルギーが発覚したり、子育てで時間をかけて食材を選ぶ時間と余裕がなくなった」。だからこそ、持続可能な消費は「個人の意欲や努力だけで解決できるものではない」と話す。
では、どうすれば日常生活の中で無理なく取り込めるのか――。藤原さんは「例えば『何となく国産が良いと聞いたから国産を選ぶ』というより、なぜ良いかを自分で調べたり考えたりして、能動的にサステナビリティーを実現するにはどうするかを考えることが重要」と言う。特に農漁業や畜産業が盛んな九州では生産者の顔が見えやすく「生産と消費のつながりを実感し、サステナビリティーの議論がしやすい地域なのでは」とも。
持続可能な消費を目指すことは、生活や家族を大切にしながら、一人一人がそのバランスを考え続けること。完璧じゃなくとも、今できる小さな選択を続けようと、私(記者)も意識を変えることができた。新泉社、288ページ。3000円(税抜き)。【竹林静】
-
将棋の郷田真隆九段が通算1000勝達成 史上13人目
東京都渋谷区で9日指された将棋の第84期名人戦B級2組順位戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)で、郷田真隆九段(54)が戸辺誠七段(38)に121手で勝ち、公式戦…社 会 5時間前 毎日新聞
-
骨折相次ぐ皿倉山スライダー、年齢制限して19日にも再開へ 北九州
北九州市八幡東区の皿倉山(622メートル)の山頂付近に4月設置されたロングスライダーで重傷者が相次ぎ利用停止になっている問題で、市は遊具の対象年齢6~12歳に…社 会 6時間前 毎日新聞
-
「豊穣の海」に重低音 佐賀オスプレイ、地元配慮も「帰れー」の悲鳴
独特の鈍い重低音が、「豊穣(ほうじょう)の海」の空に響き渡った。陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイの配備が9日から始まった陸上自衛隊佐賀駐屯地(佐賀市)。安全…社 会 6時間前 毎日新聞
-
なぜ陸自オスプレイを佐賀に配備? 国が進める「南西シフト」構想
防衛省は9日、陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイの正式配備先となる佐賀駐屯地(佐賀市)を開設し、機体の移駐を始めた。木更津駐屯地(千葉県)に暫定配備していた全…社 会 7時間前 毎日新聞
-
佐賀配備のオスプレイはどこを飛ぶ? 離着陸年間290日、夜間も
陸上自衛隊佐賀駐屯地(佐賀市)に配備されたオスプレイはどんな訓練をして、どこを飛ぶのか。 防衛省九州防衛局が佐賀県に対して2月に示した「運用計画」によると、…社 会 9時間前 毎日新聞