日本語ができない外国人が職場に…どう接する?人気高まるセミナー
「分かっていないのに、『分かった』と答える」「トラブルや問題の報告がない」――。日本で働く外国人が増える中、職場で日本語がうまく話せない外国人とどう接したらいいのか悩む人たちも少なくない。職場の外国人従業員と円滑にコミュニケーションを取るコツを学ぶセミナーを主催する一般財団法人日本国際協力センター(JICE)の担当者に話を聞いた。
◇「多分」はなぜ伝わらない?
「行けますか」と聞かれ、「多分」と答える。
日本語話者にとっては何の変哲もないやりとりだ。しかし、相手の外国人男性は「多分行けるのか、多分行けないのか。どっちですか」と戸惑っていた。
これは、17日に実施されたオンラインセミナー「外国人従業員とのコミュニケーションのコツ」で、講師を務めたJICE就労支援課の木村紗彩さん(25)が紹介したすれ違いの実体験だ。
「日本語のコミュニケーションの特徴として、曖昧な表現が多いことが挙げられます」と木村さんは指摘する。「私にとって『多分』という言葉の中には、『多分行けます』という意味が含まれていたのですが、相手にとっては曖昧だということもあります」
セミナーでは、話すスピードが速くないか▽一度にたくさんの内容を話していないか▽難しい言葉(知らない言葉)を使っていないか▽具体的な指示になっているか――などのポイントをまとめたJICEの資料を使い、具体例を交えながら職場のコミュニケーションのノウハウを学んでいく。
仕事の指示をする場合、曖昧さを避けて具体的に伝えるのが望ましいという。「もうぎりぎり」「ざっと見ておいて」などの擬態語や擬音語にも注意が必要だ。
「もちろん外国人従業員の方の日本語能力の向上のための取り組みは非常に重要ですが、私たち日本語話者にもできることがあります」と木村さんは呼びかける。
◇増える外国人労働者、対応に苦慮
このセミナーは2024年度に始まり、申込者は24年5月の20人から25年2月は100人に増えた。参加者は、製造業や医療・福祉などの民間事業者で働く人々から、各地の労働局や自治体などの公務員まで多岐にわたる。
人気を集める背景には、外国人労働者の増加があるとみられる。厚生労働省によると、24年10月末時点の外国人労働者数は230万2587人。前年より25万3912人増え、届け出が義務化された07年以降で過去最多を更新した。
JICEの斉藤牧・多文化共生事業部長によると、外国人を受け入れている製造業の現場からは「いざ事故などがあったときに、外国人従業員にうまく伝わらないのが困る」という声も上がっているという。
「(外国人にも分かりやすい)やさしい日本語の研修はさまざまな場所で実施されていますが、職場の場面で困ることと、生活の場面で困ることは違います」と職場に特化したセミナーの重要性を強調する。
◇始業時間、分かってもらえないときは?
17日のセミナーには約60人が参加し、事前に寄せられた質問に斉藤さんが答えるコーナーもあった。
「職場習慣、日本式の業務の仕方に納得してもらえないときは?」という質問に対しては、斉藤さんも「私も日々、苦労しています」と応じた。
例えば、9時に始業の場合、なんとなく9時前に職場に行かないといけないという感覚の日本人が多いが、国によって感覚は異なり、9時ちょうどに職場に行けばいいと捉えるケースもある。
その場合、「うちの会社のルールでは、9時ちょうどに仕事を始めることが決まっています。みんなで守るので、一緒に守りましょう」と語りかけることが大切だという。
「納得できない場合は、どこに納得できないか、話していただきたいと思います。どこまでだったらお互いに妥協できるのか、しっかりと話し合うことが大切です。コミュニケーションは足りないよりも、多すぎるくらいがちょうどいいのです」と斉藤さんはアドバイスした。
セミナーは月1回、初級者向けのベーシックと上級者向けのアドバンスを交互に実施している。参加費は無料。
次回(アドバンス)は8月28日午後2時から(https://zoom.us/webinar/register/WN_bMwqBIJnRi2jb9FrJWJT4g#/registration)、次々回(ベーシック)は9月18日午後2時から(https://zoom.us/webinar/register/WN_MlnldRzmRqC-O2mN1jZ8VQ#/registration)実施する予定。【川上珠実】
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