長野4人殺害事件の初公判 被告は「黙秘」 刑事責任能力争う

2025/09/04 22:26 

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 長野県中野市で住民女性と警察官の計4人が殺害された事件で、殺人と銃刀法違反の罪に問われた同市の農業、青木政憲被告(34)の裁判員裁判初公判が4日、長野地裁(坂田正史裁判長)であり、被告は起訴内容について「黙秘します」と述べた。弁護側は「事件当時、心神耗弱状態にあった」として主に刑事責任能力を争う姿勢を示し、検察側は「犯行前、犯行中、犯行後の行動から責任能力は問題ない」と主張した。

 起訴状などによると、青木被告は2023年5月25日、自宅近くを散歩していた竹内靖子さん(当時70歳)と村上幸枝さん(同66歳)の女性2人をナイフで刺殺。パトカーで駆け付けた県警中野署の池内卓夫警部(同61歳)と玉井良樹警視(同46歳)=いずれも2階級特進=に対し、狩猟用ハーフライフル銃を発射するなどした。その後、自宅に約12時間立てこもった末に身柄を確保された。

 検察側は冒頭陳述で、青木被告が女性2人から「(独り)ぼっち」と悪口を言われているとの妄想を抱き、殺害に使うナイフを購入したと指摘。事件当日、散歩中の2人を目撃した際に激高して殺害を決意したとし、殺害後は通報されると考え、自宅から猟銃を持ち出したと主張した。

 一方で弁護側は、青木被告が学生時代に同級生から「ぼっち。きもい」と言われていると思い込むようになったと主張。事件当時は統合失調症の「再燃増悪(ぞうあく)状態」にあったと訴えた。

 証拠調べで検察側は、青木被告が事件前、猟銃所持の許可を受ける際などに精神科医の診察を計7回受けており、いずれも「精神疾患はなし」とされた診断結果を示した。また、事件前日には無料通信アプリ・LINE(ライン)で「いよいよ来るぞ。とんでもないことになる」といったメッセージを弟に送信していたことを明らかにした。

 公判は26日に結審し、10月14日に判決が言い渡される予定。【鈴木英世】

毎日新聞

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