埼玉逆走死亡事故 125キロで「無謀な運転」地裁が危険運転を認定

2025/09/19 17:42 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 埼玉県川口市で2024年9月、飲酒後に乗用車で一方通行を逆走し、車に衝突して男性を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)と道交法違反(酒気帯び運転)の罪に問われた中国籍の男性被告(19)に対する裁判員裁判で、さいたま地裁は19日、求刑通り懲役9年の判決を言い渡した。逆走時の時速は約125キロに上り、江見健一裁判長は「交通ルールを意に介さない無謀な運転で厳罰は免れない」と批判した。

 判決によると、被告は24年9月29日、酒気を帯びた状態で、制限速度が30キロの一方通行を逆走。交差点で会社役員、縫谷茂さん(当時51歳)の車と衝突して死亡させた。

 裁判は危険運転が成立するかが争点で、弁護側は「運転の制御は可能な状況だった」として、自動車運転処罰法の過失致死が適当だと主張していた。

 江見裁判長は、制限速度を90キロ以上超過して運転していた点に触れ、「周囲を認識できる範囲は相当限定されていたと考えられ、わずかにハンドルを誤操作すれば車線を逸脱する状況にあった」と指摘。車の制御が困難な高速度で走行していたと判断し、危険運転の成立を認めた。

 さいたま地検は当初、被告を過失致死罪で起訴したが、捜査を続けて25年3月、刑事責任がより重い危険運転致死罪への訴因変更を請求し、認められていた。【加藤佑輔】

毎日新聞

社会

社会一覧>