将棋界2回目の「入玉宣言」 3年前と同じ野原未蘭女流二段

2025/09/25 20:10 

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 東京都渋谷区の将棋会館で25日に指された女流棋戦、清麗戦(大成建設主催)の予選が、将棋界2回目となる「入玉宣言」で決着した。2022年7月に宣言勝ちした野原未蘭女流二段(22)が再び「勝利宣言」する側となった。

 「入玉宣言」は、双方の玉が敵陣に入って(入玉)捕まらなくなり、どちらも指し続けて勝負が付かない場合の解決法として、13年に公式戦に導入された。

 宣言側の駒が、①玉が敵陣にいる②敵陣に玉を除いて10枚以上ある③自玉に王手がかかっていない④敵陣の駒と持ち駒の点数(飛・角5点、その他1点)が31点以上――の条件を全て満たした場合、宣言側の勝ちとなる。①~③の条件を満たしていないと、宣言した側が負けになるリスクもある。

 八木日和女流2級(17)とのこの日の対局は、後手番の八木女流2級が野原女流二段の攻撃をかいくぐって182手目に入玉に成功。291手目に野原女流二段も入玉を果たした。

 双方が入玉した場合、双方の駒の点数が24点以上あって両対局者が合意すれば持将棋(指し直し)になる。一方が足りない場合は投了することがほとんどだが、そのまま指し続けた場合、500手に達した時点で持将棋になる。

 点数が24点に届いていない八木女流2級が指し続けたため、野原女流二段は宣言する準備に入った。「1回宣言しているのに間違えたら恥ずかしい」と1手1分未満で指す「1分将棋」の中で、入玉宣言の規定を満たしているか、何度も確認した。373手となる自身の手番で「宣言します」と告げ、立会人の棋士を呼ぶボタンを押した。

 この日の立会人の川上猛七段は、モニター越しに対局を見ており「入玉宣言になるかもしれない」とチェック済みだった。立会人を呼ぶアラームが鳴ったため「宣言したな」と察知して対局室に向かい「宣言ですか?」と声を掛けた。

 日本将棋連盟職員も立ち会い、野原女流二段の駒が敵陣に玉を除いて13枚あり、敵陣に入った駒と持ち駒を合わせた点数が31点あることが確認され、野原女流二段の勝ちとなった。

 終局後、300手を超える対局に疲れた表情を見せた野原女流二段。約3年ぶり2回目の「入玉宣言」に、「こんな短期間で、しかも第2号も私になるとは思わなかった」と苦笑しながら驚きを語った。【丸山進】

毎日新聞

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