よみがえる「青ガエル」 東急線で活躍していた当時の姿を再現

2025/09/27 18:00 

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 「青ガエル」の愛称で知られる東京急行電鉄5000系(初代)が往時の姿でよみがえった。

 総合車両製作所(横浜市金沢区)が技術伝承などを目的に1両の外観を復元。27日、報道陣に公開した。

 同社の前身である東急車輛製造が自主設計し、1954年から製造。東急東横線などで活躍した。丸みを帯びた愛くるしい姿だが、その中には当時の最新技術が詰まっていた。

 車体は航空機の設計技術を取り入れ、強度を確保しつつ、既存の車両より1両あたり10トン以上軽くしたという。また製造当初は主抵抗器の廃熱を暖房に使うなど、エコな仕組みも取り入れられていた。

 外観が復元されたのは56年製造のデハ5015。東急線で活躍した後、80年に改造され長野電鉄で使用された。赤とクリームの塗装が施され、「赤ガエル」と呼ばれて親しまれた。

 この車両は97年に廃車となり、長野県内で保存されていたが、2022年に横浜市金沢区の事業所に戻った。80年の改造で取り外された前面下部の尾灯を復元したほか、塗装を緑色に戻すなど、東急で活躍していた当時の姿を再現した。

 「当時のチャレンジングな取り組み、精神を現役の社員につないでいきたい」。木村億尋(おくひろ)常務取締役生産本部長は、復元した車両を保存する意義を語った。この車両は一般社団法人・日本機械学会による「機械遺産」にも認定されている。今後は内装の復元にも取り組んでいくという。【渡部直樹】

毎日新聞

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