啓文堂→紀伊国屋に書店名を変更 株式譲渡で 年内めどに全店舗

2025/09/30 07:15 

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 都内などを走る京王線・井の頭線の沿線を中心に展開する「啓文堂書店」が順次、「紀伊国屋書店」に店名を変更する。“第1号”の府中店(東京都府中市)は9月25日に店名が変わり、店頭の白文字看板も新しくなった。年内をめどに全20店舗を「紀伊国屋書店」とする予定という。

 啓文堂書店は京王電鉄の子会社、京王書籍販売(多摩市)が運営していたが、京王側が同社の株式を紀伊国屋側に譲渡。紀伊国屋書店の子会社、紀伊国屋書籍販売(同)が管轄する。

 府中店の山口則夫店長は25日、取材に応じ「啓文堂として府中で50年やってきた。さびしさがないわけではないが、店名が変わっても地域のみなさまのために、引き続きよい本をご紹介したい」と話した。

 また、同日に府中店を訪れた紀伊国屋書籍販売の西前秋幸社長は「紀伊国屋の流通網で体制を強化したい。イベントやフェアも積極的に展開していく」。紀伊国屋書店グループの高井昌史会長は「地域の店として子供たちにたくさんの本を手に取ってもらえるよう、グループとして取り組みたい」と意気込みを語った。

 書店にやってきた同市の60代女性は「府中に引っ越してきて20年、夫とこの店に通っている。世間では本屋さんがなくなっていくけれど、店名が変わっても、この店にはぜひ頑張ってほしい」とエールを送った。

 「日本出版インフラセンター」(千代田区)によると、全国にある現在の書店数は1万店余。この20年で半数近く減ったという。【浜田和子】

毎日新聞

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