近畿財務局、財務省の改ざん指示に「廃棄済み」 森友文書4回目開示

2025/10/08 20:34 

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 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る財務省の公文書改ざん問題で、財務省は8日、関連文書やメールなど計2万5252ページを新たに開示した。財務省からの改ざんの指示に対し、近畿財務局幹部が「廃棄済み」などと応じるメールが改めて明らかにされた。4月から続く開示は4回目。

 財務省は2017年、公文書14件で政治家の名前を削除するなどし、土地取引を巡る学園側との交渉記録を廃棄した。この経緯解明に向け、改ざんを苦に自殺した元財務局職員の赤木俊夫さん(当時54歳)の妻雅子さん(54)が開示を請求。17万ページ超があるとされ、今回は赤木さんのメールや他の職員の手控えなどが含まれていた。

 開示文書では、改ざんを巡る財務省本省と財務局とのやりとりが改めて明らかになった。財務省理財局の担当者は当時、文書に印を付けたうえで削除を指示。これに対し、財務局幹部がメールで「学園の概要は廃棄済み」「簡便に修正済み」「別紙1経緯は廃棄」などと報告していた。

 財務省は理財局長だった佐川宣寿氏が改ざんを主導したとしている。ただ、過去3回分を含めた開示文書からは、佐川氏がどのように指示したかは判然としない。

 一方、この国有地取引では地中ごみの撤去費用約8億円が差し引かれて売却された経緯にも不信が集まった。国有地は国土交通省大阪航空局が所有し、売却の窓口は財務局が担った。

 今回開示された売却当時の文書によると、16年3月にごみが見つかり、航空局は当初、直接撤去する方針だった。ただ、予算措置が難しいなどの理由で、国側は撤去費用分を減額した売却に方針転換していた。

 財務省幹部はメールで「航空局が責任ある対応をしなかった」と指摘。費用について航空局が約8億円と算定しており、財務局の担当者は「説明責任を果たせるよう、航空局に正確な積算を求めた」と上司にメールで説明していた。

 航空局は今月、地中ごみについての新たな調査結果を公表し、売却時よりもごみの総量は4分の1、撤去費用は2億円安い6億円超と算定した。担当者は「調査方法が異なり、より詳細に調べた」としている。

 この日、財務省で文書を受け取った雅子さんは「夫のメールをまず見てみたい。夫がつらい思いをしていたことを知れたらいい」と語った。記者会見した加藤勝信財務相は新政権でも情報開示を進めるかを問われ、「しっかり引き継いでいきたい。政府として遺族に約束をしたことだ」と述べた。【加藤結花、井口彩、藤河匠、林みづき】

毎日新聞

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