昭和天皇支えた香淳皇后 実録公開、「おきさき教育」や戦中の言動も
宮内庁は9日、昭和天皇のきさき、香淳皇后(1903~2000年)の生涯を記録した「香淳皇后実録」を公表した。
14年公表の「昭和天皇実録」と対になる公式記録。「おきさき教育」の全体像、戦況や銃後の状況を把握しようと努める戦時中の言動など、香淳皇后の動静が初めて詳述された。
◇「おきさき教育」の内容は?
香淳皇后は当時皇族の久邇宮家の長女・良子(ながこ)女王として誕生。
14歳だった1918(大正7)年に皇太子妃候補に決まり、24(大正13)年に当時皇太子だった昭和天皇と結婚した。
編さんに使われた約1500件の資料は、女官長日記や女官日誌など非公開の内部文書、久邇宮家関連文書など。皇后自身が記した日記の存在も調査したが、見つからなかったという。
皇后の学びの内容は、宮内庁書陵部所蔵の未整理資料から新たに見いだされた「御教授日録」などで詳細が判明した。
皇太子妃候補に決まった直後に学習院女学部中学科を退学し、宮邸に専属の教育場所「御学問所」が構えられた。
講義内容は修身(道徳)やフランス語、和歌や数学など。結婚後は「現代家族法の父」とされる法学者の穂積重遠から「婦人論」や「夫婦の法律と道徳」などを学んだ。
◇「銃後の守り」を率先
日中戦争や太平洋戦争と皇后の関わりも、より鮮明になった。
女性皇族を国内各地に派遣して陸海軍病院を慰問させ、軍に奉仕する婦人活動の情報を収集した。
こうした「差遣(さけん)」は国家総動員法が制定された38(昭和13)年や戦況悪化の43(昭和18)年で活発だった。
朝鮮や台湾などにも差遣があり、出向く女性皇族には、軍司令官へのことばを託した。官民挙げての銃後の活動に「深ク満足」などの内容だった。
戦時中も受け続けた穂積の講義は、日独伊三国同盟など国際情勢、「大東亜戦争の遂行方針について」「軍人援護について」などの内容になった。「銃後の守り」を率先して果たそうとする皇后の姿が浮かぶ。
宮内庁は編さん方針を「確実な資料や情報に基づいた内容のみを記載した」と説明する。
分量は昭和天皇実録の3分の1ほどになった。担当職員は「天皇と比べて皇后の動静は公文書に残りづらい」と振り返った。
昭和天皇との会話や心情を記録する資料も乏しかったという。家系の色覚障害を理由に元老山県有朋らが婚約辞退を求めた「宮中某重大事件」の心境を明らかにするには至らなかった。
過去には、一般公開を前提とせずに編さんされた天皇、皇后の実録もある。宮内庁は今回、初めてホームページで全文を公開する。【山田奈緒、高島博之】
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