SNS時代の取材・報道も議論 マスコミ倫理懇談会の全国大会始まる

2025/10/09 19:21 

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 新聞社や放送局などでつくるマスコミ倫理懇談会の第67回全国大会が9日、福井市で始まった。オンラインを含め約280人が参加し、交流サイト(SNS)時代の選挙報道の課題や、災害報道のあり方などを、五つの分科会に分かれて議論した。10日まで。

 今回のテーマは「戦後80年の分岐点 メディアは民主主義を支えきれるか」。開催地を代表し、福井新聞社の吉田真士社長が「マスメディアが今後とも信頼を損なうことなく、謙虚にプライドを持ってより良い民主主義社会をリードしていくきっかけにしたい」とあいさつした。

 「SNS時代の取材・報道とは」と題したディスカッションでは、日本大の西田亮介教授、国際大の山口真一准教授、JX通信社の米重克洋代表取締役の3人が、現役世代の情報源がネット中心になる中での報道のあり方を議論。山口准教授は、ネット上でのマスメディアの存在感が、インフルエンサーの発信に劣っているとして、SNSでの発信に工夫が必要だと述べた。

 また、記者が誹謗(ひぼう)中傷されるケースが相次いでいることを受け、澤康臣・早稲田大教授が対策を提言。米国などにはある、記者を法的に支援する団体が日本にも必要だと指摘し、記者が中傷の発信者を特定するために開示請求を行うのを助言する業界横断チームを設けるべきだと呼びかけた。

 SNS時代の選挙報道の課題を話し合った分科会では、報道のあり方が問われた昨年の兵庫県知事選の教訓を、今夏の参院選報道にどう生かしたかを、地方紙のデスクらが報告。飛び交う言説の真偽を検証するファクトチェックの課題についても話し合った。【斎藤良太】

毎日新聞

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