「ドラレコ捜査徹底を」警察庁が全国に指導 音声確認ミス事案受け

2025/10/12 05:00 

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 交通事故を記録したドライブレコーダー(ドラレコ)のデータ確認が不十分なまま捜査が終わった事案があり、警察庁は全国の警察に対してドラレコや携帯電話の捜査を徹底するよう指導する文書を出した。警察関係者への取材で判明した。

 文書は9月26日付で、各都道府県警の交通部宛てに事務連絡として出された。

 2019年に千葉県内で発生した交通死亡事故では、捜査段階でドラレコの音声データの存在が気づかれないまま、刑事裁判の判決が確定した。警察庁によると、毎日新聞がこの事案を9月11日にニュースサイト(東京本社発行紙面では12日付)で報じたことを受けた対応という。

 文書は冒頭で、「ドラレコの音声を再生せず、携帯電話の使用状況の捜査をしなかったことが後日判明し、真相解明が不十分だった事案が発生した」と説明。

 その上で、容疑者の供述をうのみにせず客観証拠を精査する▽映像に音声がなくても、設定上のものか再生ソフトによるものか確認する▽携帯電話使用中の事故が増えており、通信履歴を確実に確認する――ことを促した。

 事故は19年1月に千葉県内で起きた。横断歩道を歩いて渡っていた男性(当時83歳)が乗用車にはねられ死亡。50代の男性運転手は自動車運転処罰法違反(過失致死)で有罪判決が確定した。

 21年10月、被害者遺族が検察から開示されたドラレコ動画を再生させたところ、音声が聞こえた。運転手が同乗者がいない車内で誰かと会話をしているような内容だった。

 しかし、千葉県警は「再生ソフトの問題」から音声データの存在に気づかないままで、携帯電話で話をしながら運転する「ながらスマホ」の有無については捜査が尽くされなかった。

 警察庁交通指導課は「ドラレコの音声は重要証拠の一つで、指導を徹底する」と説明。14日に全都道府県警の交通部門の幹部を集める会議でも、再度周知を図るという。【菅野蘭、深津誠】

毎日新聞

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