永瀬九段が4連勝 佐々木八段「勝手読み」で混戦 名人戦A級順位戦

2025/10/27 12:06 

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 第84期名人戦A級順位戦4回戦、永瀬拓矢九段―佐々木勇気八段戦が26日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、永瀬九段が114手で勝利し、開幕4連勝で単独トップに立った。

 中盤で佐々木八段が優位に立ったが、勝負どころで自分に都合のいい「勝手読み」(佐々木八段)で戦いがもつれ、混戦を制した永瀬九段が貴重な星を拾った。

 ◇馬が消える誤算

 「桂馬は入る(相手をしてくれる)かと思っていた」

 永瀬九段の飛車が逃げながら5四飛(72手目)と指した局面で、佐々木八段は残り時間9分から貴重な1分を割いて考えて5五桂と打った。

 永瀬九段の飛車の利きを止めながら敵陣の金に狙いを定めた攻防手だったが、永瀬九段は金取りに構わず4七銀と打ち込んで飛車と馬の両取りをかけた。

 働きの良かった佐々木八段の馬が盤上から消え、混沌(こんとん)とした戦いに突入した。

 佐々木八段は「3七飛も読んだ」と明かしたが、形勢を損ねそうな手順が浮かんで見送っていた。

 感想戦では、結果的に3七飛を選ぶのが正しかったという結論になり、佐々木八段は「馬を取られる必要はなかった」「飛車を詰む形になるのをうっかりした」と首を振ってぼやくばかりだった。

 ◇4連勝、2期連続挑戦なるか

 なんとか無敗を死守した永瀬九段。「後手番でかなり序中盤に苦戦を強いられ、本局もかなり厳しい局面になった。4勝0敗の星はA級では初めて。いいスタートが切れたので、課題をしっかり修正して後半戦に挑んでいきたい」と決意を口にした。

 10月に行われた4回戦で、無敗だった近藤誠也八段と糸谷哲郎八段が敗れ、前期に続く2期連続挑戦を目指す永瀬九段が単独トップに立った。

 進行中の王将戦リーグでも無敗で単独トップに立ち、二つのタイトル戦で藤井聡太名人が待つ大舞台にまた一歩、近付いている。

 4回戦を終えてのA級の星取りは以下の通り(数字は順位)。

 ▽4勝=1永瀬九段

 ▽3勝1敗=6豊島将之九段、9近藤誠也八段、10糸谷哲郎八段

 ▽2勝2敗=5増田康宏八段、8千田翔太八段

 ▽1勝3敗=3渡辺明九段、4佐々木八段、7中村太地八段

 ▽4敗=2佐藤天彦九段

 本局を詳報する椎名龍一さん執筆の観戦記は、11月13日から毎日新聞朝刊に掲載される。【丸山進】

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