検察側「教団への批判高まると考えた」と動機指摘 元首相銃撃初公判

2025/10/28 15:28 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 安倍晋三元首相(当時67歳)への殺人罪などに問われている山上徹也被告(45)の裁判員裁判で、検察側は被告が安倍氏を狙った動機について「社会の注目が集まり、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への批判が高まると考えた」と指摘した。

 検察側によると、被告は2022年に勤務先を退職し、生活に行き詰まっていた。旧統一教会の最高幹部の襲撃を考えていたが、新型コロナウイルスの流行で来日が実現しないと知り計画を断念していた。

 安倍氏が教団関連団体にメッセージを送った動画を閲覧していた被告について、検察側は「首相経験者で有名な人物の安倍氏を襲撃すれば、社会の注目が集まり、教団への批判が高まると考えた」と指摘した。

 その後、被告は岡山市で安倍氏を襲おうとしたが、近づけずに断念。奈良市内に安倍氏が来ることを知り、銃撃を決意したという。

 起訴状によると、被告は22年7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で参院選の応援演説中だった安倍氏に向かって手製銃を発砲し、殺害したとされている。

 被告、弁護側が起訴内容について意見を述べた後、検察側が冒頭陳述を開始。被告の経歴や事件に及んだ経緯などを説明している。

 公判では予備日を含めて19回の期日が指定されている。弁護側が求めてきた母親や宗教学者のほか、検察側が請求した目撃者ら計12人が証人尋問に臨むことになっている。判決は26年1月21日に言い渡される。【岩崎歩、田辺泰裕】

毎日新聞

社会

社会一覧>