「今年は異常だ」 クマ被害深刻、イベント中止相次ぐ 広がる影響

2025/11/07 16:18 

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 クマによる人的被害が深刻化し、各地でイベントの中止や変更が相次いでいる。

 自衛隊新潟地方協力本部は、新潟東港で9日に予定していた護衛艦「みょうこう」の公開を取りやめた。5000人の来場を見込んでいたが、周辺でクマの出没情報があり、「来場者の安全を100%確保することは難しいと判断した」。

 サッカーJ1のアルビレックス新潟は、新潟東港の近くで行っていた練習の一般公開を当面、見合わせる。これまでは数百人のファンが来場していた。担当者は「選手とふれあう機会を楽しみにしてくれていた方も多く、歯がゆい。この辺りは工業地帯で、知る限りでクマの出没はこれまでなかったのに」と語る。

 スポーツイベントにも影響が広がる。11月6日に秋田市であった東北高校駅伝競走大会は、競技場付近にクマが出る恐れがあり、競技場を発着点とする周回コースから、競技場内でのトラックレースに変更された。

 富山県上市町は、11月16日に予定していた「つるぎリレーマラソン&健康ウオーク大会」を中止。450人がエントリーしたが、不安から辞退する人も出ていた。担当者は「これまで地元は、ある意味でクマと共存していたが、これほど出没することはなかった。今年は異常だ」と戸惑う。

 長野県飯田市で10月13日に予定されていた「風越山トレイルマラソン大会」も取りやめになった。1948年の第1回以降、クマ出没が理由で中止となるのは初めて。山中のコースに配置する警備員にクマよけスプレーやラジオを携帯させて開催する方針だったが、多くの人が集まる発着点付近でクマが目撃され、苦渋の判断で断念したという。

 来年に向けて安全対策を議論していくが、市生涯学習・スポーツ課の城下一弘係長は「警備員を何人配置したら安全になるかなど、悩ましい」と対策の難しさを口にした。【木原真希、松浦吉剛、寺町六花】

毎日新聞

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