保護者らの過剰な苦情に対応指針 ポスターの校内掲示も 水戸市教委

2025/11/07 16:33 

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 水戸市教育委員会は、教職員が心身ともに安心して働ける環境を確保しようと、保護者や地域住民などからの過剰な苦情や不当な要求への対応指針をまとめた。教職員の人権や就業環境を脅かす言動に毅然(きぜん)と対応し、場合によっては警察への通報や法的措置を講じるとしている。市教委などによると、こうした学校現場での指針は県内で初めてとみられる。

 東京都がカスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例を4月に施行するなど、全国各地でカスハラ対策に乗り出している。市教委は学校現場での対策が必要と判断し、指針をまとめた。

 指針では「理不尽な要求には応じず毅然とした態度で対応」「応対時間は原則1時間以内を目安とし同じ内容の繰り返しや進展が見られない時は話し合いを終える」などの4項目を定めた。市教委が保護者に示した通知によると、暴言や大声、過度・不当な要求、居座りや長電話など長時間の拘束、無断での撮影・録音や交流サイト(SNS)でのひぼう中傷などに対し、毅然と対応するとしている。

 市教委によると、近年、過剰な苦情などで学校だけでは解決が難しく、市教委と連携して対応するケースが増加。2021年度からは学校側が保護者などへの対応に困った場合に弁護士に相談できるようにしており、21年度は58件だった相談件数が24年度は81件に上った。教職員のメンタルヘルスの不調につながるケースもあり、市教委は過剰な苦情などを未然に防ぐ狙いだ。保護者に周知し、校内では来校者向けにポスターを掲示した。

 このほか、市内の小中学校と義務教育学校の全48校で通話録音装置の運用を10月に始めた。市教委の担当者は「家庭と学校がより良い関係を築き、先生が子どもたちと元気な姿で向き合えるようにしたい」と話している。【鈴木敬子】

毎日新聞

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