「年をとる=新しい自分になること」 哲学を踊る94歳が新作に出演
「年をとるっていうのは、新しい自分になるということでしょう? 今までの自分になかったものが生まれてくるのは面白いことだな、と思うんです」
94歳にして現役。北海道の現代舞踊界を長年リードしてきた舞踊家、能藤(のうとう)玲子さんは、舞台に立ち続ける魅力をそう語る。
1931年、網走市生まれ。国鉄職員だった父の勧めで6歳から日本舞踊を習い、15歳の頃にモダンダンスの舞踊団へ入門した。19歳で日本の現代舞踊の草分けとされる邦正美(くにまさみ)(1908~2007年)に出会い、その後上京して本格的に師事した。
「東京で見る舞台はどれも誰かの模倣ばかりだ」。そう感じて帰郷を決めた1959年、師から「札幌は文化果つるところ。クマが出るような場所で何がモダンだ」と猛反対された。
だが「自分のものを作るには、自分が生まれた場所に帰らなきゃダメだ」と決意は揺るがなかった。同年、札幌市で自身の舞踊団「能藤玲子創作舞踊研究所」を設立した。28歳だった。
◇1996年に文化庁芸術祭優秀賞
以来65年以上にわたり、国内外のステージに立ってきた。ニューヨークやモスクワ、パリで公演を重ね、96年に文化庁芸術祭優秀賞を受賞。数々の栄誉に浴してきた。
「やはりね、舞踊を続けているのは自分に興味があるからじゃないですか? 年齢を重ねると自分はどうなるのかしら、と思って。老いたといえば老いたかもしれないけれど、その現実をどう料理するか、だと思っています」
現在は、来年1月に出演する新作「神の舌 ―夢の入口」の稽古(けいこ)に励む。自身で創作したこの作品は、北海道を代表する彫刻家、砂澤ビッキ(31~89年)が残した彫刻作品「神の舌」(高さ約2メートル)に感銘を受けて生まれたという。
「ほんのちょっと木をしゃくってるような作品なんだけど、何かすごくひかれて」
思い出したのは、食糧難だった戦後の学生時代。通っていた女学校が米軍に接収され、生徒たちは唯一残された音楽室で授業を受けた。
皆ろくに勉強せず、通学路でもいできたハナマスの実をむさぼるのみ。授業が終わる頃には、教室の床がハナマスの種だらけになっていた。
「今は飽食の時代でしょう。私や(親交があった同い年の)ビッキの時代は、全然食べられなかった。でも、舌を満足させることが当たり前のこの時代にも、食べられない人たちはいる」
そうした人々に思いをはせ、踊りを作らなければならないと感じたという。「見ているお客様に、食というものの魅力と絶望感、その両方を感じてもらいたい」
能藤さんにとって、モダンダンスは「その時代の最も内面的な先端を行っているものを取り上げる舞踊」だ。単に音に合わせて踊るのではなく、哲学を踊る。
引退の2文字は、頭の中に毛頭ない。
「死ぬまで続けるんじゃないでしょうかね。やめたら生きる意味がないでしょう。違う? 変ですか?」
大真面目に語り、にこっと笑った。
公演の開演は、2026年1月23日午後7時▽24日午後3時▽25日午後1時――。札幌市民交流プラザで。チケットは同プラザチケットセンターなど。一般4000円、25歳以下2000円。【伊藤遥】
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