山上被告の母、脱会は「できれば…」 後悔と信仰で揺れる心情隠さず
安倍晋三元首相銃撃事件で起訴された山上徹也被告(45)の裁判員裁判が18日、奈良地裁(田中伸一裁判長)であり、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者である被告の母親が弁護側証人として出廷した。母親は事件について「私が加害者だと思う。献金を一生懸命して宗教の役に立とうとしていたが、本来の宗教の姿を履き違えた」と証言した。
母親の尋問は13日に続いて2度目。前回は、被告の父親が自殺し、被告の兄である長男が病気で苦しんでいた経験から、教団に入信したと明かしていた。18日の公判で弁護側は、教団への献金で経済破綻した経過を確認するところから尋問を始めた。
母親によると、被告が高校3年生の時、被告の祖父が教団の記念日に亡くなり「神様の意図がある」と考えて自宅を売却して献金に充てた。家族には「祖父の会社に借金がある」とうそをついていた。家計は切迫し、母親は自己破産した。
経済苦のため大学進学を断念した長男はやがて暴力を振るうようになった。被告が家族をつなぎとめる役回りで、暴れる長男を殴り付けたこともあったという。
しかし、その被告も2005年に自殺を図った。母親は、教団の教義を学ぶ「修練会」に参加中で、韓国で自殺未遂の一報に接したという。
弁護人「修練会は打ち切らなかったんですか」
母親「一生懸命お祈りをして、帰るな、帰るなという声が聞こえてきたので」
母親は信仰の深みにはまり、一家は壊れた。決定的だったのは15年に長男が自殺したことだった。母親は前回の公判で高額献金の理由について「(病気の長男の)命を守りたかった」と説明していたが、献金が長男を追い詰めていた。
この出来事をきっかけに被告と母親の関係は以前にも増して希薄になったようだ。被告は母親宅には寄りつかず、会話を交わすこともほとんどなくなった。「(被告から)たまにメールが来るくらい」(母親)だったことを確認した弁護人は事件が起きた22年7月8日まで時計の針を一気に進め、質問を続けた。
弁護人「事件はどうやって知ったか」
母親「ニュースで知りました。びっくりして信じられないという思いでした」
母親は被害者が安倍氏だったことには関心が向かわなかったとしつつ、安倍氏と教団について「関連があると思った」と証言した。
被告が事件を起こした責任を問われ、間髪入れずに「私が加害者」と応じ、「献金を黙ってしてきたし、子どもたちをほったらかしてやってきた。(献金して)ちやほやされて有頂天になっていた」と述べた。
教団と距離を置くかのような証言をした母親。ただ、教団の活動はしていないものの、信仰心は今も持っているとし、教団を脱会できるかと尋ねられると、数秒の間を置いて「できれば今の形でやらせてもらえれば。脱会してもいいとは思うが、今ここでは答えられない」と後悔と信仰との間で揺れ動く心情を隠さなかった。
続く反対尋問で、検察側は被害者が安倍氏だった点を問い直した。
検察官「被害者が殺害されても仕方ないと思っているんですか」
母親「思っていません。どうして安倍さんかは分かりませんが、同じような境遇の子を助けたい意図もあったのだと思います」
親の信仰に苦しむ「宗教2世」を指しての発言とみられ、母親は続けて「徹也は根は悪くないんです、本当に優しい子です。私がちゃんと対応していればこんなことにはなりませんでした」と興奮した様子でまくし立てた。被告は机の前で手を組み、眉間(みけん)にしわを寄せていた。視線は下にあり、母親には向けられていなかった。母親は「徹也には申し訳なく思っています」と繰り返し、最後に「てっちゃん、ごめんね」とつぶやいて退廷した。
18日の法廷には被告の妹である長女も出廷し、信仰を持った母親がろうそくの明かりの下で祈りをささげるようになり、「気持ちが悪いと思った」と述べた。長女に対する尋問は19日も続く。【木谷郁佳、根本佳奈、国本ようこ、田辺泰裕】
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