国際芸術祭「あいち2025」が閉幕 延べ52万人来場 79日間開催

2025/12/01 18:49 

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 愛知県で開かれた国際芸術祭「あいち2025」が11月30日に閉幕した。来場者数は延べ50万人超で、外国人初の芸術監督を務めたフール・アル・カシミさん(45)は「混沌(こんとん)とした世界で戦争や環境破壊は収まる気配がない。そんな状況にあっても芸術は重要な役割を果たせる」と語った。

 現代美術の祭典として2010年から3年に1度開催。今年は「灰と薔薇(ばら)のあいまに」をテーマを掲げて、国内外の作家62組が参加。愛知芸術文化センターと県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか会場で9月13日から79日間繰り広げられた。来場者数は前回の22年より約3万6000人多い延べ52万4069人(速報値)だった。

 03年イラク戦争の爆撃直後の光景を天井画にした作品や、人間と海の関係を考察した映像作品が注目された。来場者からは「ポリティカルな作品が多い」、「祝祭感はなかった」との意見が聞かれた。

 見過ごされがちな通路脇の吹き抜け空間を利用し、約300種のバラの花を栽培した「落選の花園」も高く評価された。品種開発の途上で商品化されなかったバラを集めて可視化。園芸業者が連日通って管理した。印象派の画家が「落選展」を開催した美術史とも絡めた。【山田泰生】

毎日新聞

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