旧統一教会総裁の初公判 特別検察は「絶対的権力者で犯行承認」指摘

2025/12/01 19:07 

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 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権から便宜を受けるため政権側に金品を贈ったとして、政治資金法違反などの罪に問われた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)総裁、韓鶴子(ハン・ハクチャ)被告(82)の初公判が1日、ソウル中央地裁で開かれた。韓被告側は起訴内容を全面的に否認した。特別検察は、韓被告が旧統一教会の「絶対的権力者であり、頂点ですべての犯行を承認した」と指摘した。

 韓被告は白いマスクをつけて出廷した。判事から旧統一教会の総裁かと問われ「そうです」と答えた。弁護人は起訴内容について「誤解と歪曲(わいきょく)がある。すべて認めない」などと述べ、全面否認した。

 初公判を傍聴するため、大勢の教団関係者や信者らが行列を作った。韓被告が今春、後継者に指名したとされる孫の文信出(ムン・シンチュル)氏と文信興(ムン・シンフン)氏も法廷で傍聴した。

 起訴内容によると、韓被告は2022年1月ごろ、元教団幹部のユン・ヨンホ被告=請託禁止法違反罪などで公判中=らと共謀。同年3月に実施された大統領選で尹氏を擁立していた現在の野党「国民の力」の国会議員、権性東(クォン・ソンドン)被告=政治資金法違反罪で公判中=に現金1億ウォン(約1070万円)を渡したとされる。

 また、韓被告は22年7月ごろ、尹氏の妻の金建希(キム・ゴンヒ)被告=あっせん収財罪などで公判中=に高級ネックレスなどを贈ったとされる。

 特別検察は「信者たちが借金をして統一教会に献金したが、こうした金を(尹前政権との)癒着に関する不法資金に充てた。極めて悪質だ」と非難した。

 これに対し韓被告の弁護人は、起訴内容について「(ユン被告の)一方的な供述に基づく」などと反論。事件はユン被告の独断で行われたと主張した。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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