日銀総裁、12月会合で「利上げの是非判断」 「地ならし」見方も

2025/12/01 19:29 

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 日銀の植田和男総裁は1日、名古屋市で開かれた地元経済界との懇談会で講演し、次回12月18、19日の金融政策決定会合で「利上げの是非について適切に判断したい」と明言した。「景気にブレーキをかけるものではない」とも説明し、利上げに否定的な「リフレ派」に理解を求めた。市場では、12月会合での追加利上げに向けた地ならしとの見方が出ている。

 植田氏は「12月18、19日に予定されている決定会合に向け、企業の賃上げスタンスに関して精力的に情報収集している」と述べ、利上げ判断のカギを握る来春の賃上げ動向を12月会合までに精査する考えを強調。「決定会合では、この点を含め、経済・物価情勢の動向をさまざまなデータをもとに点検・議論する」と述べ、利上げの是非を議論すると具体的に述べた。

 植田氏は「政策金利を引き上げるといっても、安定した経済・物価の実現に向けて、アクセルをうまく緩めていくプロセスだ」とも説明。巨額の経済対策を決定し、金融緩和との組み合わせで経済成長を加速させようとするリフレ派の高市早苗政権に、利上げの理解を求める狙いとみられる。

 植田氏は、トランプ米政権の大規模関税の日本企業への影響が当初の見通しに比べ限定的になるなど、「先行きの不透明感は次第に薄れてきている」と説明。「経済同友会の調査でも多くが、今年と同じかそれ以上の賃上げ率を予定している」と述べ、現時点の調査では、十分な賃上げが実施されるとの認識を示した。

 市場では12月会合での利上げ観測が強まり、長期金利の上昇と円高・株安が進んだ。【大久保渉】

毎日新聞

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