NHK次期会長の井上氏「受信料収入の下げ止まりを」

2025/12/09 21:23 

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 NHKの次期会長に決まった井上樹彦副会長(68)が9日、東京・渋谷のNHK放送センターで記者会見した。NHKの受信料収入が2018年度の7122億円をピークに減少し、23年の受信料1割値下げなどで財政難に陥っていることを踏まえ「目下の最大課題は受信料収入の下げ止まりをさせること。27年度の収支均衡を予定通り目指す」と語った。また「ネット社会やSNS(交流サイト)の拡大の中で、それに合うような(番組の)届け方をしないといけない。そのための人材や財源確保を何としても実現する」とも強調した。

 井上氏の任期は来年1月25日から3年間。井上氏が政治部出身であるため、会見では「政治との距離」や報道機関としての独立性を維持できるかについての質問も出た。井上氏は「政治的な圧力に屈するとか、そんたくすることは報道機関としての生命線を傷つける。いろんな意見はNHKに来るが、報道がゆがめられることはなかったと思っており、これからもそこだけはしっかり守りたい」と話した。

 8日の経営委員会で選出された際は、経営委員12人のうち3人が反対した。井上氏は「経営委が、本当に自主的に自由闊達(かったつ)に議論した結果」との見解を示した。

 NHK内部からの昇格は05~08年に会長を務めた橋本元一氏以来21年ぶり。井上氏は「内部とか生え抜きとかあまり関係ない」としつつ「グループ全体を見渡して人材のありかは知っているし情報も入る。チームとしてNHKをまとめて難しい問題に当たる意味では利点はあるのではないか」と語った。【井上知大、諸隈美紗稀、平本絢子】

毎日新聞

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