保険代理店、東京海上を提訴 手数料ポイント「一方的に引き下げ」
損害保険会社が保険代理店に支払う手数料を算定するのに使われる「代理店手数料ポイント」の数値を、損保会社が一方的に引き下げて手数料が減額されたとして、保険代理店「ライズ」(大津市国分1)が11日、東京海上日動火災保険(本店所在地・東京都)に対し減額となる手数料など約1290万円の支払いを求める訴えを大津地裁に起こした。ライズの担当者は「減収でサービス維持が難しくなれば、代理店が担ってきた事故や災害時の相談窓口という地域のセーフティーネットの役割も崩壊する」と危機感を示した。
訴状によると、2025年度の手数料ポイントについて、今年8月に一方的に約20%引き下げる通知があり、毎月約100万円の減収になると主張。将来分も含めた支払いを求めた。
手数料ポイントは、03年に導入され、それまでは契約保険料に対し一律だった代理店手数料が、前年度の売り上げ実績などに応じたポイントで決まる仕組みになった。ポイント加算条件は損保会社が一方的に変更でき、23年7月には全国の代理店経営者ら264人が手数料ポイント制度を「独占禁止法が禁止する優越的地位の乱用」として公正取引委員会に申告。大手2社に排除措置命令を出すよう求めたが、認められなかった。その後も保険代理店はポイント制度の是正を訴え、金融庁は今年10月、保険会社向けの監督指針に「代理店手数料の算出方法は損保会社と保険代理店との間の協議・合意により決定されている」と明記した。
ライズの大村誠治取締役(44)は提訴後に記者会見し、「弁護士を介した協議でも(ポイント引き下げの)明確な理由は示されなかった」と説明し、「全国では減額を受け入れざるを得ない小さな代理店も多く、誰かが声を上げないとポイント制度は動かないと思った」と語気を強めた。代理人弁護士は手数料ポイントを巡って損保会社と争う裁判は全国初とした上で「監督指針に法的拘束力はないが、損保会社には指針に則した行動をするよう裁判で訴えていく」と話した。
東京海上日動は毎日新聞の取材に対し「個別の事案についての回答は控えさせていただきます」と答えた。【礒野健一】
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