韓国の警察当局は１５日午前、世界平和統一家庭連合（旧統一教会）の本部など１０カ所に対する家宅捜索を始めた。聯合ニュースが報じた。李在明政権で海洋水産相を務めた田載秀（チョンジェス）氏や与党の国会議員らが不正な資金を受け取った疑惑について、証拠となる資料の確保を図るとみられる。

　家宅捜索の場所は、ソウル郊外の京畿道（キョンギド）加平（カピョン）郡にある教団本部や、田氏の自宅など。

　聯合によると、田氏は、教団側から２０１８～２０年に現金とブランド品の時計を受け取った疑惑がある。保守系の大手紙「朝鮮日報」は、教団側が悲願としてきた、日本と韓国南東部・釜山を結ぶ「日韓トンネル」構想に関連して、田氏に便宜を図ってもらおうとしたと伝えている。田氏は一連の疑惑を否定するが、「政府が動揺してはいけない」として１１日に海洋水産相を辞任していた。

　李大統領は、旧統一教会の問題に関連して、与野党を問わず厳しく捜査すべきだとの考えを示している。また旧統一教会を念頭に、解散命令を含む法的措置を検討するよう閣僚に指示している。

　旧統一教会総裁の韓鶴子（ハンハクチャ）被告は、保守系の尹錫悦（ユンソンニョル）前政権側から便宜を受けるため政権側に金品を贈ったとして、政治資金法違反罪などで起訴され、公判中だ。【ソウル福岡静哉】