介護保険制度見直しは小幅に 2割負担拡大など見送り 厚労省部会

2025/12/25 18:16 

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 2027年度に向けた介護保険制度の見直し案が、25日に開かれた厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会で了承された。ケアマネジャーによるケアプランの有料化を住宅型有料老人ホームで導入することが決まった一方、介護サービス利用時の2割負担となる人の対象拡大など結論が先送りになったものもあり、介護費の抑制に向けた改革は小幅にとどまった。

 介護サービス利用時の2割負担の対象者の拡大は以前から検討されてきたが、高齢者の負担増に対する反発は根強く、22年以降3度も先送りされてきた。厚労省は部会で、導入後の負担増の上限額を月7000円とするなどの配慮案を示すなど慎重に進めてきたが、理解を得られなかった。

 この日取りまとめられた意見書は賛否を明確にしなかったが、保険料の上昇を抑える観点から、2割負担となる基準について、「見直しの検討が必要」と明記された。高齢者の生活への影響に加え、来年度の医療保険制度での負担増の状況を踏まえ、27年度の前までに結論を得る、としている。

 委員からは見送りに理解を示す意見が出た一方、「今回も先送りされたことは制度の持続可能性を高める観点から極めて遺憾だ」と厳しい声も上がった。

 このほかにも、部会で議論された要介護1、2の人たちの生活援助サービスを、保険給付から市町村の事業に移す案も「引き続き包括的に検討」として、結論を出さなかった。

 ケアマネジャーによるケアプランの有料化は、住宅型有料老人ホームでの導入が決まった。自宅で訪問介護などのサービスを利用する人は現行通り、無料のままとなる。また、有料老人ホームの安全性や質の確保のため、中重度の要介護者らを入居対象とする有料老人ホームで、登録制を導入することも盛り込まれた。【寺原多恵子】

毎日新聞

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