藤井王将「昼食休憩に指されて驚いた」 加藤一二三さんの思い出語る
京都市の伏見稲荷大社で指されるALSOK杯第75期王将戦(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社特別協力、ALSOK特別協賛)の第2局に臨む藤井聡太王将(23)と挑戦者の永瀬拓矢九段(33)は京都入りした23日、前日に86歳で死去した「ひふみん」こと加藤一二三九段との思い出を語った。
「400年に一人の天才」と言われる藤井王将は2016年12月24日のプロデビュー戦で、「神武以来(このかた)の天才」の異名を持つ加藤九段と対戦した。
「訃報に接し、悲しい気持ちとともに、デビュー戦で対局をする機会を得られて、戦型は矢倉で、一局を教わることができたのは貴重な機会だったと改めて感じた」としのんだ。
そのデビュー戦でのエピソードにも触れた。「加藤九段が昼食休憩の時に指されて、驚くこともあったんですが」と笑い、「指し手に関しても妥協なくという印象が強くあって、加藤九段の将棋をじかに学べたのは大きな経験だった」。
それから10年、藤井王将は将棋界の全8タイトルを独占するなど、数々の記録を塗り替えてきた。
「10年前は棋士になったばかりで、分からないことが多かったが、デビュー戦が大きな経験で、そこから経験を重ねて成長することができたと感じている。ここ何年か試行錯誤というか、(将棋への)取り組み方を探りながらというのが多くなっているが、加藤九段は現役棋士を62年もされ、将棋に対する探究心を持ってこその偉業と感じるので、私自身もそういう姿勢は見習っていきたい」と敬意を表した。
一方、永瀬九段は加藤九段と公式戦で3局戦い、いずれも勝利した。
「初対局(11年の棋王戦予選)は鮮明に覚えている。若手時代に大棋士の先生に教わるのは貴重な体験だと思っていたので、気迫に間近で触れることができたのは私の財産になっている」
また、加藤九段の健啖家(けんたんか)ぶりについて、「私も(対局中に)結構食べる方なので、加藤先生を見習えるか分からないが、そういうところも取り入れて今後の棋士人生に生かしていきたい」と、ユーモアを交えてレジェンドの死を悼んだ。
23日にあった前夜祭であいさつに立った日本将棋連盟の佐竹康峰常務理事は「(今日は)1月23日で『ひふみん』の日とさせていただきたい。家族思いで、将棋界のために家族で尽力してくれた。最後の対局の日、さっとお帰りになった。奥様に感謝するため、まっすぐ帰った。その10日後の記者会見でのご発言には涙が出てくる。『魂を燃やし、ともに歩んでくれた妻に感謝を改めて表明したい』。明日からの熱戦を見守ってくれているはず」としんみり語った。
【新土居仁昌】
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