「安全はコストじゃない」 ダッカテロ事件10年、被害者が語る教訓
バングラデシュの首都ダッカで2016年7月、武装集団が飲食店を襲撃し、外国人客らを人質に立てこもり、日本人8人が死傷したテロ事件から約10年。当時、銃撃などで大けがをした建設コンサルタント会社「アルメック」(東京都)の渡辺玉興・海外業務室長が、海外に進出する中小企業の安全対策を強化するための会合に出席し、「安全対策はコストではなく、事業を続けるための前提条件だ」と教訓を語った。
◇事件で同僚ら7人犠牲に
事件は地元のイスラム過激派勢力によるもので、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。20人が殺害され、そのほとんどがイタリア人や日本人ら外国人。日本人は、国際協力機構(JICA)が発注した事業で調査していた建設コンサルタントや技術者らで、渡辺さんは事件で同僚ら7人を失った。事業は22年にバングラデシュ初の都市高速鉄道「ダッカメトロ」として部分開業し、経済発展の起爆剤と位置づけられている。
渡辺さんは18日に外務省で開かれた会合で事件で得た教訓について語った。「この国で大きな事件はめったに起きないと発生確率で考えるのではなく、起きたらどうなるか、社員の命や会社の事業にどれほど大きな影響が出るかを基準に判断することが重要だ」と指摘。「個人の注意で安全は守れない。『気をつけてください』だけでは限界がある」として、危険情報確認や緊急時の連絡方法などを会社が事前に決める仕組みが必要だと訴えた。
◇中小企業などで課題も
渡辺さんは毎日新聞の取材に「安全対策は現場任せや個人の注意に委ねる部分が少なくなかったが、企業で責任を持って管理する体制づくりが進んだ」と過去10年を振り返った。安否確認システムの導入や緊急連絡網の整備、海外渡航前の在留届の提出、外務省の安全情報配信サービス「たびレジ」の登録が徹底されてきたという。
一方で、課題もある。「中小企業では専任の安全担当者を置けないことが多く、短期出張者の安全意識の浸透は十分ではない」という。慣れによるリスク感度の低下やサイバー・偽情報など新たなリスクも課題だと指摘した。
渡辺さんが出席したのは「中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク」会合。ネットワークは事件を受けて16年9月に設立され、会合は今回で10回目。外務省や全国商工会連合会などが参加し、安全対策のノウハウ共有などに取り組んでいる。
同省によると、24年に発生したテロの件数は前年比3%減の3492件で、死者数は同13%減の7555人で減少傾向にある。ただ、テロが発生した国の数は前年の58カ国から66カ国に増えた。発生地域は中東や北アフリカが多かったが、近年はアフリカのサヘル地域(サハラ砂漠南縁部)が多いという。
実生泰介領事局長は日本人が海外で直面するリスクについて「テロだけでなく政情不安や大規模感染症、自然災害など多様化している」と指摘。「『海外は危ないから行かないで』ではなく、日本の底力を高めるためにも海外に打って出る日本人を後押ししたい」と話した。【田所柳子】
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