埼玉県立中で「いじめ重大事態」か 同級生に切りつけられる 22年

2026/03/04 15:48 

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 埼玉県伊奈町の県立伊奈学園中学で2022年、当時3年生だった男子生徒が同級生の男子生徒に刃物で足を切られる問題が起きていたことが関係者への取材で分かった。被害生徒が進学後の昨年6月、保護者や学校側に被害を告白。県警が少年事件として捜査し、県教育委員会は「いじめ重大事態の疑い」があるとして第三者委員会による調査を検討している。【田原拓郎】

 毎日新聞の取材に応じた被害生徒や母親によると、問題が起きたのは22年6月27日、昼休みの教室だった。同級生でもある相手生徒と教室の窓越しに話していた際、じゃれついてきた相手を制止すると激高され、筆箱からカッターナイフを取り出してきたという。被害生徒は「カッターをよけようと倒れ込んだら、相手がそれを振り下ろして足に刺さった」と振り返る。

 出血した生徒は学校に駆けつけた母親と病院を受診し、7針縫った。ただ、生徒は当時、学校側や親に「教室の机から突き出た金具で足を切った」などと説明した。「(相手が)何をするか分からない」という印象を抱き、報復を恐れたという。

 同校によると、問題発生直後、別の生徒が刃物を持った相手生徒を目撃し、教員が生徒らに話を聞いた。しかし、被害生徒の当時の説明を疑うような情報はなく、明るみに出なかった。

 そのまま時は過ぎ、問題が発覚したのは25年6月。同校は中高一貫校のため、両生徒はそのまま高校に進学し、3年生になった。被害生徒が同月の三者面談で担任と母親に「実は3年前のけがは切られたものだった」と告白した。

 生徒はその理由について「事件以降も相手とSNSでやり取りしたり、複数人で遊んだりしたこともあった。でも、相手に普通に生活を送らせて良いのかと考え、学校に何らかの対応をしてほしいと思い、打ち明けた」という。

 被害生徒と両親はその後、学校や県教委に相談。県警に被害届を出した。相手生徒は昨年12月、傷害の非行内容で家裁送致された。関係者によると、相手生徒は問題を巡り、カッターで切ったこと自体は認めているが、被害生徒とは異なる経緯を説明をしているという。

 ◇生徒と保護者、学校に不信感

 一方、被害生徒と保護者は、事件発覚後の安全対策などの対応を巡り、学校側に不信感を抱く。被害生徒は「相手はクラスが違ったが登校を続けていた。(問題を)告白して以降、登校に強いストレスを感じるようになった」といい、母親は「安全確保策を要望したが、不十分だった」と訴える。

 事件発覚後の対応について、毎日新聞の取材に応じた学校側は「警察の捜査に配慮しつつ、聞き取りや指導を行った。時間割を確認して2人が同じ教室で授業を受けないよう確認するなど、安全対策はした」などと説明している。また、問題が起きた当時、母親が到着するまで救急車を呼ばなかったことの反省から、救急対応を見直した。この問題を受けた保護者説明会の開催も予定しているという。

 被害生徒側の要望などを受け、県教委は「いじめ重大事態の疑い」があるとして第三者委員会による調査を検討しているという。

毎日新聞

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