名古屋城へのシカ「移住作戦」断念 市「多くの課題あった」

2026/03/05 18:14 

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 殺処分対象となっている京都市の野生のシカを名古屋城で受け入れる検討を進めてきた名古屋市の佐治独歩・観光文化交流局長は5日、市議会本会議の答弁で「多くの課題が判明し、断念せざるを得ないと判断した」と明らかにした。

 名古屋城には江戸時代からシカが飼育されてきた歴史がある。本丸を囲む内堀には60頭近くいた時期もあったが、野犬に襲われるなどして徐々に減少し、現在はいずれも雌の「もみじちゃん」と「やまむらちゃん」の親子2頭のみになった。

 そんな時に持ち上がったのが、京都市郊外で近年増えている野生のシカを名古屋城に移住させようという計画だ。京都市は2024年度から生息する野生のシカを捕獲し、殺処分する対策を進めていたが、京都市民からの提案を受けた名古屋市が昨年夏ごろから京都側と接触。シカ数頭の受け入れに向け、専門家の助言を受けながら調整を進めてきた。

 しかし、野生のシカを生きたままケガなく安全に捕獲することが技術的に困難▽仮に捕獲できたとしても環境変化がもたらすストレスにより生存率の低下が避けられない▽人や餌に慣れさせるための一時保護の場所が確保できない――などの課題が判明したという。佐治局長は「本来シカを守る立場にあるはずが、逆にシカを傷つけ、ストレスを与え、死なせてしまうことは動物福祉の観点から決してあってはならない」と断念理由を説明した。【式守克史】

毎日新聞

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