厚労省、戦争トラウマ家族会と面会 調査対象の拡大には消極的

2026/03/05 18:45 

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 過酷な戦場の現実や加害行為のため心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの戦争トラウマに苦しんだ旧日本軍兵士に関する国の実態調査を巡り、元兵士の子ども世代で作る家族会が5日、厚生労働省の担当者と国会内で面会した。家族会は戦傷病認定者に限定している調査対象を拡大するよう改めて求めたが、厚労省側は「戦後80年が経過する中で、戦争と症状の因果関係の判断が難しいなどの課題がある」として消極的な姿勢を示した。

 厚労省は2月、2024年度から取り組んでいる心に傷を負った元兵士とその家族の実態調査の結果について、戦傷病者史料館「しょうけい館」(東京都)で常設展示を始めた。担当者は「家族会の活動がきっかけとなり、しょうけい館での展示を実現することができた」と感謝した。

 一方で、今回の調査対象は主に戦中に陸軍病院などに入院し、戦傷病と認定された元兵士に限っている。家族会のメンバーの多くは、肉親の元兵士が心に傷を負ったことに本人や周囲が気づかないまま亡くなり、戦傷病と認定されていないことから国の調査対象外となっている。

 家族会の黒井秋夫代表はこの日、戦傷病認定外の兵士の実態調査を引き続き要望した。厚労省側は、有識者から意見を聞いているとした上で、「現実的に可能なことがあれば取り組みを検討したい」と述べるにとどめた。【肥沼直寛】

毎日新聞

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